第一話
私ゆうみんの初投稿作品です!!
テーマは「切ない」。切ないといっても死ネタはありませんのでご心配無く。
「なぁ、俺達…別れねー?」
部活終わりの静かな教室
あたしは彼にそう告げられた
「別に良いけど」
「マジで?サンキュー!俺さ、実は好きな子がいんだ。じゃ、これからは友達としてよろしくな!」
「はいはい」
じゃあな、彼はあたしに手を振ると軽やかな足取りで教室を出ていった
誰もいなくなった空間に一人、取り残されたあたし
「…バカじゃないの」
ぽつり、呟く
教室に呼び出された時、大体は予測していた
ついさっきまであたしの彼氏だった凌人は最近、妙にそわそわしていた。
あたしと二人っきりでいても、自分の友達といてもボーッとしてうわの空。
時には嬉しそうにケータイをいじっている事もあった
それはつまり、あたし以外の女と付き合っているか、もしくは好きな女が出来たから
勘づいた初めの頃は「まさかね…」と半信半疑だったけど
その疑惑は今日で確信に変わった
あんな幸せそうな顔、彼女であったあたしでさえ見たことが無かった
…彼女がいるのに好きな子が出来るってどういうことなんだろうか
あたしは何とも思わない
こういった時は、嫉妬やらヤキモチをやいたりやらして彼を自分の方に振り向かせようと努力するのが普通なのかもしれない
だけど
どうしてもそんな感情が生まれてこないんだ
よく考えてみれば
友達だった時と付き合っていた時との接し方に一つも変化は無かったし
トキメキさえ無かった
あたしは、凌人は。
本当にお互いを好きだったのだろうか?
窓から差し込むオレンジ色の夕日
その夕日に染まる机の上のカバンを手に取ったあたしは、それをリュックのように背負い教室を後にした
「「「杏奈!!大丈夫!?」」」
生徒玄関の下駄箱で靴を履き替え終えると、丁度グループの友達三人が慌て気味に駆け寄ってきた。
そんなみんなの表情はどこか浮かない
「大丈夫って…、もしかして凌人から聞いたの?」
「だって凌人が一人で帰ろうとしてたし…」
「『杏奈と一緒じゃないの?』って聞いたら、『あいつと別れたから』って!」
「杏奈!これで良いの!?」
興奮冷めやらぬ勢いであたしを取り囲み、肩
や襟元を掴みぐわんぐわん揺する三人
これは端から(そして遠目で)みたら確実にカツアゲをするチンピラだ
あたしは自分を揺らす三人を大型動物を扱うかのように「ドードー」と両手を目の前に突きだし落ち着かせる
「…いーんだってこれで。てゆーか、別れてもあんまりピンとこないし。だからさ、みんなが気にする必要無ーいーの。じゃ、帰ろっ「そーだ!今からオケ行かない?杏奈の失恋デーとして!」
あたしが言い終える寸前に言葉をかぶせて喋り始める友達A。いや、Aは失礼だな。
友達の愛子
しんみりしている場をあたしがいーカンジの言葉で締めくくり心機一転。
『じゃ、帰ろっか!』そう言って四人手をとり仲良く帰路を行く…ハズだったのに。
愛子、あんたってやつは…羞恥心で一杯のまま愛子をうらめしそうに睨み付けると「あんたナニ白目むいてんの?」哀れみの表情でこっちを見つめてくる。
む、むっかつく!!
「いーじゃんそれ!行こ行こ!金足りるかなー」
おいおい。お前までもか友達B。正式には友達の夏輝
夏輝は財布を取り出すとお札の数を数えだす。
こっそり夏輝の財布の中を覗くとあらびっくり。
お札が十枚以上入っていた。さすがここらでは有名なお金持ち一家の娘だ。
「よしっ!元気な歌でも歌って、飲んで食べて、パーっとしよっか!百合、杏奈の為に名一杯盛り上げるよ!」
乗り気過ぎだわ、友達Cならぬ友達の百合よ
「あたしホントに大丈夫だか
「「「さーてしゅっぱーつ!!!!」」」
正直さっさと家に直行したい。
あたしは最後の念押しとばかりに声を大にして訴えかけたのだが、そんな訴えも虚しく三人の大声にかき消され
両腕を拘束されると無理矢理カラオケに連れていかれることになったのだった




