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第二夜
「ねぇおじいちゃん、何かお話して?」
「綾香は本当に昔話が好きだなぁ」
「うん!!だって、おじいちゃんのお話は、どれもすっごく面白いんだもん」
「そうかそうか、じいちゃんも綾香が喜んでくれて嬉しいよ」
私はおじいちゃんの膝の上に座り、話が始まるのを今か今かと待ちわびていた。
おじいちゃんが話す昔話は、面白かったり怖かったり悲しかったり、本当にたくさんの種類があった。
私はおじいちゃんの話を聞くたびに、自分の心が動くのを幼いながらも感じていたし、その感覚がたまらなく好きだった。
「おじいちゃん、今日は何のお話してくれるの?」
「そうだなぁ、今日は優しい鬼の話でもしようか」
「優しい鬼?鬼は悪者じゃないの?」
「いいや、世の中には悪い人も居れば、善い人も居るだろう?
それと同じで鬼にも悪いやつと、善いやつが居たのさ」
「ふーん」
「この話はな、おじいちゃんが子供だった頃におじいちゃんのお父さんから聞いた話なんだ」
「おじいちゃんのお父さん?」
「あぁ、そうだよ、それじゃあ始めようか」
「うん!!」
そう言うと、おじいちゃんは優しく笑い
ゆっくりと言葉を紡ぎだした