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第3話 疑念と追跡

翌日、俺たちは分散して情報収集を始めた。


フクロウは以前潜入した裏社会の情報網を使い、Jとアスカは過去の魔法使い狩りの事例を分析する。


俺は、国王から提供された別ルートの情報を使い、標的となっている魔法使いの行方を追った。


だが、思った以上に情報は少なかった。


まるで誰かが意図的に情報を遮断しているかのように。


そんな中、フクロウから緊急の連絡が入った。


『標的が消えた。昨夜、行方不明になったらしい。』


俺たちはすぐに集まり、フクロウの報告を聞いた。


「つまり、俺たちが調べている間に、もう鬼灯が動いたってことか?」


Jが言う。


フクロウは頷いた。


「遅かったな…。だが、一つ手がかりを得た。鬼灯の魔法の痕跡が残っていた。」


俺たちはその現場へと向かった。



夜の倉庫街。


標的の魔法使いが最後に目撃された場所へと向かう。


倉庫の中は、焦げた跡が広がっていた。


闇属性の魔法がまだこの場に残っているせいで、空気が重く、息をするのさえ苦しく感じる。


「ここで…鬼灯が何かをした。」


俺は床の痕跡を指でなぞった。


Jが警戒しながら周囲を見渡す。


「もう遅いかもしれないけど、この場に何か残っているかもしれないわ。」


アスカが小さく呟きながら、魔力を探る。


フクロウがふと何かを見つけた。


「これを見ろ。」


手元には、小さな布切れ。


「血の跡がついてる…。標的の魔法使いのものか?」


布切れのすぐそばには、倒れた椅子と焦げた魔法の書があった。


何かを記そうとしていたのか?


崩れた鉄骨、焦げた壁、焼け焦げた床――鬼灯の魔法の残滓がこの場所を支配していた。


「…炎属性と闇属性の魔法の痕跡が濃い。」


アスカが魔力の残存を分析しながら呟く。


「これは、ただの戦闘じゃないな。」


フクロウが壁を指でなぞる。 まるでこの場所は 鬼灯の圧倒的な魔力 によって焼き尽くされ、呑み込まれたかのようだった。


「こんなに強い魔力が残るなんて…魔力量が尋常じゃない。」


Jが目を細めながら言う。俺もこの場に残る魔力の気配を感じ、息を呑んだ。


こんな状態が1人の魔法使いだけで生じたというのか?


「これは…魔法暴走の跡か?」


俺は無意識に呟く。


「いや、違う。計算された魔法攻撃だ。暴走ならば、もっと空間全体が荒れているはずだ。」


フクロウが冷静に分析する。


「それにこの焼け焦げた床…ただ炎を放っただけじゃない。魔法陣の跡のような模様が残っているわ。」


アスカも続ける。


つまり、これは鬼灯が意図的に放った魔法の結果――。


そして、その魔力量が常軌を逸しているという証拠でもあった。


「遺体はないみたいね。」


アスカが床を調べながら言った。


「だが先ほどの布についていた血痕はまだ新しかった。」


フクロウが言う。


「ということは、鬼灯は少し前まではここにいたってことか。」


俺は深く息を吐いた。


鬼灯はここにいた。


だが、すでに消えた。


この場に残る圧倒的な魔法の痕跡。


炎と闇が絡み合う異常なエネルギー。


それは鬼灯の魔力量が異常なほど膨大であることを証明していた。


「…こいつと戦うのは、簡単じゃなさそうだな。」


Jが鋭く言った。


俺は無言でうなずく。


鬼灯がここで魔法を使った痕跡があるなら――次にどこで動くのか、予測するしかない。


俺たちは すでに鬼灯の足跡を追っている。


彼女を直接見つけるまで、止まるわけにはいかない。

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