第二七話 「常識では考えられない寒空のインタビュー地獄」
第27話 「常識では考えられない寒空のインタビュー地獄」
「そんで、うちらはなんでこんなありえない寒さのところに連れてこられとるんや」
「おそらく田村さんの差し金だな」
「北海道行ってインタビューしてこいなんてあんまりやで! うちらはそんな都合のいい役回りやあらへんで」
「飛行機乗った時点で覚悟しとかねぇとダメだったみてぇだな」
「うちは函館塩ラーメン食べてやな、カニをたらふく食べて、ウニにいくらにタイの乗った海鮮丼を食べる予定やったんや!! それがどういうことや! この寒い街でインタビューしろなんて、ホンマ信じられへんで」
「エリの胃袋も信じられねぇけどな」
「美味しいものは別腹や、エンゲル係数的にな」
「意味わかんねぇよ、正直あたしも冷え性だからさっさと仕事終わらせて帰りたいんだがな」
「ホンマ、外に出た瞬間ペットボトル凍りよるってどういうことやねん!!」
「常識では考えられない出来事」
「アンビリバボー」
「あなたの身に起こるのは明日かもしれません・・・」
「今起きてるっての!」
「ノリだけは一流やな」
「アイドルとしてあるまじき関西のノリ」
「こうしてうちらは腐っていくんや・・・」
「・・・もう手遅れかもしれません・・・」
「このネタ後三回は使えよるな」
「寒いから早く行こうぜ」
「そやな・・・、もう限界近いわ・・・・・・」
―――寒空の下、限界ギリギリインタビュー!! さて一人目じゃこらぁぁ!! こんな所に住んでて寒くないんですかぁああぁあっぁぁ?!
「今日は暖かい方ですよ、太陽も昇ってますし」
―――聞いて損しました・・・、なんと絶えず雪が降っていますが今日はまだ天気がいい方だそうです、んだとこらぁっぁっぁぁ!!!
「ウルルン無理にテンションを上げて体温を上げようとしとんな、これは寿命縮むで」
―――ちなみに、今日はどこへお出かけですか?
「ええと、市場に買い出しです、寿司屋を経営してるものですから」
―――そうですか、すみませんお忙しいところ、疲れたのでもう大丈夫です、失礼しました。
「お疲れやで、ウルルン」
「なんとも見づらいレイアウトだ」
「そんなことはいいんや、うちはウルルンが無事なだけでええんや」
「そうだ、早くこんなとこから帰ろうぜ」
「そやな、それじゃあ次はうちがインタビューすんで」
「任せた、あたしはあそこでラーメン啜って待ってるからな」
「うちは煮卵メンマ多めで頼むで」
「了解だ!」
―――ちょっとそこのおじいちゃん!! ちょっと聞きたいことあるんやけどいいやろか?
「なんや、えらいベっぴんさんやないか、わしなんかに何の用や?」
―――美味しい海鮮丼のお店教えてください!!
「またメシの話しかよ!!」
「ウルルンは黙っといてっ」
―――それで、いいお店知ってますか?
「村上さんとこの上海鮮丼を食べなはれ、今日はいいネタが入っとうみたいやさかい」
―――ありがとうございます。一回行ってみます。
「さてインタビューも終わったわけだが・・・」
「ロクな素材にならんかったね」
「寒さにやられては仕事にならん」
「いい教訓やね」
「さぁ、その上海鮮丼とやらを食べて帰ろうか!」
「そやね、NAVITIME!! うちらを美味しい海鮮丼に連れてって!!」
―――というわけで、あたしらは食事を済ませてこの地を去ります、お疲れさまでした。