第一九話 「あなたと通信したい。」
第19話 「あなたと通信したい。」
―――さぁ、夜も深くなってまいりました。引き続きお便りを読んでまいりましょう。
「田村さん目にクマができてるで」
「もうとうの昔に限界を超えている」
「終電までには終わってや、さすがに自分の身が心配やで」
「何であたしらは残されてるんだよ、他の社員帰って事務所誰もいねぇじゃねぇか」
「ホラーやね」
―――それではお便りです。人間監視カメラさんからですね、エリさんは最近事務所の20代前半の男性と仲が良いそうですか進展はいかほどでしょうか?
「完全に身内やないかーーー!!!」
「はぁぁ、噂の新人の彼ですか・・・、エリやるねぇ最近事務所に寄ること多いと思ったら」
「これは刑事告訴も辞さない誤解やで、これ送ったん誰やねん、白状せいや!!」
―――残念ながら匿名希望ということでお答えできません。
「これは追及しねぇとな、実際どうなんだよ?」
「どうもこうもあらへんわ、なんでこんなプライベートの事告白せなあかんねん!」
「そりゃアイドルなんだから時には身を投げ打って頑張ってもらはねぇと」
「都合のええ時だけアイドルとか使うなやーー!!」
―――まぁ簡単に事情を話してくださるだけで結構なので、むしろこのまま噂が立ち上るほうが大変ではないですか?
「メシウマ期待っ」
「ああぁ・・・、うまいこと乗せられてる気がする・・・」
「その人とは年齢も近いこともあってよく話すんやけど・・・、それで話してたときに同じオンラインゲームをやってることがわかったわけや。うちはそのオンラインゲームはネット活動してた頃からやっとるし、ネット活動しとったらオンラインゲームの一つでもやっとるほうがステータスになるっちゅうことでやっとったんや」
「すげぇな、それでそいつとゲームで会ったのか?」
「そうやね、一緒にダンジョン潜って、アイテム回収したりしとったわ、そんでやな、そこでもゲームの話しとかしとって・・・、お互いDS持っとったから通信プレイしよってことになって事務所で休憩時間見つけてやっとったんや」
「俗に言うポ○モン通信プレイ事件か」
「そんなことで事件扱いすなや、なんもあれへん、普通の関係や、なんも面白いことあらへんで」
「しかし発展の可能性は十二分にあるわけか・・・、これは今後とも楽しめそうな話題じゃねぇか」
「楽しむなや!! 向こうにも迷惑やろ!!」
「向こうは意外と真剣かもしれねぇけどな、エリ頑張れよ!!」
「応援されても困るわ!! うちはもう知らんで、もう何も話さへんで」
「ふ~ん、あたしから話してもいいんだがな・・・」
「“ウルルン、それ言うたらぶっ刺すで”」
「こ、こえぇぇぇ・・・・・・」
―――まだ何か秘密があるそうですね・・・、とても気になるところです。
「あたしから頑張れとしか言えねぇな」
「うちにとっては重大な問題や、それ以上触れんとって!!」
―――どうもエリさんはマジなようで、新人のKくんは是非頑張ってください。
「それやめてーーーー!! 本人絶対気付いてるやん!!」
「最初からだろ、それは」
―――というわけで、残りのお便りも消化しましたのでこれにて今日のインタビューは終了とさせていただきます、ありがとうございました。
「あぁ・・・・・・、謝罪メール送らないかん・・・」
「ちゃんと化粧マスターして頑張りたまえエリくん、クククッ」
「悪代官みたいな言い方やめや!!」