碧と陽翔と変形仮面
『モデルのアオがよかったって。僕はいらないって、言われるのが、怖くて。陽翔ちゃんからすっごく、逃げたくて。だから。陽翔ちゃんと一緒に暮らすことはできません』
モデルではない自分はダメダメだともう植え付けているのだ。
その考えを改めることなんて、改められる方法を見つけることなんて、一朝一夕でできるわけがない。
諦めたら、離れたら、この人はずっとこのままだ。
けれど、こんな苦しそうな顔をさせたいわけでは、決してないのだ。
自分と一緒にいることが、よりいっそう、苦しませることになるのならば。
やはり、離れ、
「ごめん!!!」
叩いてのち、余韻が響き渡る鐘のような音をまず認識。
脳だけがゆっくりと一回転するような不思議な感覚に襲われる中、ああ、つんざくような大声を出されたのかと把握して、一時、視界から外れていた碧を見つめれば。
「碧さん」
涙も鼻水も滂沱と流して、顔をくしゃくしゃにしている碧が、瞳に映った。
「ごめ。ほんっ。ごめん。ごめん。陽翔ちゃん。僕、」
ぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう。
碧が掴むクリスマスツリーの仮面が、かわるがわる変形していく様を視界に入れながら、陽翔は思った。
自信過剰でいい。
碧もやはり、離れたくないのだ。
だったら、
「碧さん一緒に暮らしますよ」
陽翔はクリスマスツリーの仮面を握る手をすっぽりと、自分の手で覆って、言い切った。
(2024.1.1)




