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碧と陽翔とケーキと花束




 ベイクドチーズケーキ。

 ビターなブッシュ・ド・ノエル。

 柑橘系フルーツタルト。

 フォンダンショコラ。

 イチゴのショートケーキ。


 すべて五号のホールケーキ。

 計五箱を縦一列にして持ち運んできたその人は、クリスマスツリーの仮面を被っていた。




「おかえりなさい」

「ただいまでしゃん」


 じゃがいも、にんじん、たまねぎの野菜ごろごろ、牛肉の小間切れ入り中辛カレーを作り終えて数分経った頃だった。

 玄関のチャイムが鳴って玄関モニターを見た陽翔は、玄関まで行って鍵を開けると扉を押して出迎えたのであった。


(………もしかして今日は碧さんの誕生日なのかな)


 先に家の中に上がった碧の背中には、多様な種類と色の花が使われた大きな花束がぶら下がっていた。

 碧は黙々と五箱のホールケーキを冷蔵庫の中に入れてから、人をダメにするカーペットの上で正座になった。

 とても姿勢正しく。

 こちらにお座りくださいと手のひらを向けられながら言われた陽翔は、碧の対面で拳一つ分空けて正座になった。

 碧は背中にぶら下がっていた花束を前に回して紐をほどくと、陽翔に差し出した。


「お詫びの品でございます。色々とご迷惑をおかけしまして大変申し訳ありませんでした」

「謝罪するなら素顔を見せるのが筋じゃありませんか?」

「合わせる顔がございませぬ」

「………」


 花束を受け取った陽翔は無言で立ち上がった。

 とりあえずの緊急策で、脱衣所あるバケツに水を注いで花束を入れておくのだ。


(明日にでも花瓶を買ってこよう)











(2023.11.30)




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