碧と陽翔と純日本式庭園
(アオでも公園が好き、なのか?)
歴史公園にて。
藩主が作った別荘があり、純日本式庭園を楽しめる。
一番の見どころは池に面したお広間からの眺めで、お茶屋で抹茶と季節のお菓子も堪能できるらしい。
(バッティングセンターとか、ボーリングとか、ボルダリングとか、身体を動かすで、デートをするのかと思ってたけど)
碧は広間に置かれた座布団に座って、じっと純日本式庭園を見つめている。
静かだ。
一言もしゃべっていない。
(仕事で暴れ回っているから、休日は静かに過ごしたいのかな。でも)
とても姿勢のいい正座だ。
顔が見えていなくても、その背中だけで見惚れてしまうだろう。
(碧さんだったら、気にしないで身体を横にしていたのかな)
「陽翔」
「はい」
「退屈してないか?」
「いえ。こんな静かな時間も好きですよ」
「いつも頭を働かせているから休ませないといけない、か?」
「はい」
「おまえ。頭が爆発する前にちゃんと休ませろよ」
「してますよ」
「どうだか。結構な頻度で真夜中でも電気がついてるぞ」
「仕方ないですよ。有望な大学生なので、時間がいくらあっても足りないんですよ。でも、就寝の大切さもわかっているので、時々しか徹夜はしていません」
「時々でもするな」
「時々は仕方ありませんよ」
「そうやってどんどん増えていくぞ」
「増やしませんよ。アオさん。結構世話焼きですね。家事も手伝ってくれるし。あんなに出て行けって邪険にしてたのに」
「出て行かねえから仕方ねえし、一緒に暮らしてんだから家事も分担するに決まってんだろうが」
「アオさんって、完璧主義者ですか?だらけている姿を見たことがないんですけど」
「そっくりそのまま返す」
「ぼくは完璧主義を楽しんで実行していますけど、アオさんはどうなんですか?息苦しく感じたりしないんですか?」
「俺が無理して俺を演じてるって?」
「まったく無理しているようには見えませんけど」
「だったら、違うんじゃねえか?」
「………それなら」
いいのだろうか。
言葉を飲み込んだ陽翔の前髪を指で弾いた碧は、もう少ししたら茶屋に行くかと言った。
そうですね。
陽翔は返事をして、純日本式庭園へと意識を向けた。
金色と赤色の大きな二匹の鯉が悠々と泳いでいた。
(2023.11.20)
(参考文献 : 友泉亭公園)




