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碧と陽翔とチャーハン




(………あの人。本当に碧さん。なんだろうか)


 碧とアオ。

 本当に同一人物なのだろうか。

 一緒に暮らし始めてから三日が経ったが、のほほんとした碧の要素が全く見当たらないのだ。

 常に鋭利な刃物を構えているようなヒリヒリした感じがするのだ。


(あ~~~も~~~)


 陽葵のマンションの客間にて。

 ベッドに横になっていた陽翔は枕を顔に押し付けて、右に左にと転がり続けた。

 交際は断ったが、好意が消滅したわけではないのだ。

 毎日毎日、顔を合わせる生活。

 しかもやたら距離が近い。

 嫌がらせではないだろうか。

 いや、あの人からしたら、マンションから出て行かない自分こそ嫌がらせをしているように感じているのかもしれないが。

 このまま一緒に生活を続けていたら心臓が持たないかもしれない。

 半ば本気で危機感を抱いてしまう。


(そもそも仮面を被っているわけじゃなくて。もしも。本当に記憶喪失だったとして、記憶が戻らなかったら。このままずっと)


 転がるのを止めた陽翔はより強く枕を顔に押し付けた。


(記憶喪失じゃないとして。仮面を被り続けることが碧さんの望みだったとしたら)


「陽翔。メシできたぞ」

「………はい」


 扉越しに聞こえた碧の声に返事をした陽翔は顔から枕を退かして、ゆっくり上半身を起こすと、両頬を軽く引っ張ってからベッドから降りて、客間を後にしたのであった。


 碧が夕飯に作ってくれたのは、ソーセージ、玉ねぎ、じゃがいも、ピーマン、赤と黄のパプリカ、卵がごろごろと入った豪快塩胡椒チャーハンだった。











(2023.11.19)




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