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第九十二話
ズボンを下げられないように出来る限りの抵抗を試みた。
「往生際が悪いですよ。もう逃げられませんから」
確かに、この抵抗で状況が良くなる事はないであろう。
でも、何か。何か奇跡が起きてくれないかと俺は抵抗し続けた。が、その抵抗も虚しく、ズボンを下げられ、残りはパンツ一枚。
「すいませーん。ここに父さんが居るみたいなんですが!」
「「・・・」」
緩奈の手が止まった。
部屋の扉を外からドンドンと叩いて、騒いでいるのは間違いなく娘の美喜の声。どうして、ここが分かったのだろうか。
いや、それよりも。
父として、情けないが、娘に助けを求める事にした。




