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第八十二話
「卓也さん。恋人を放置して、電話ですか?」
お化け屋敷から出てきた緩奈は、プリプリ怒っていた。が、そんなことよりも気になることがある。
「誰、それ?」
「私のボディーガードです」
「いや、その人。最初にいた、お化けの人だよね?!」
お化けと手を繋いで、緩奈は出て来たのだ。
「すいません。私、もたもたしている人を後ろから脅かして、先へ進める役なんで、早く戻らないといけないのですが」
お化けの特殊メイクをしていて、めちゃくちゃ怖い。が、口調はとても丁寧で優しい感じであった。
「え?あ、すいません。どうぞ行って下さい」
お化け役の人は、頭を下げ。そそくさとこの場を離れて行った。
「えっと、この後は?」
「・・・次は、もっとゆっくり出来る所に行きますよ!」
デートが全然上手くいかないからか、不機嫌そうに緩奈は次の予定を教えてくれた。




