75/107
第七十四話
遂にこの日が来た。
土曜日。
今日で、緩奈とのデート三回目。
妻に、また休日出勤になったと嘘を言い、待ち合わせ場所に行くと既に緩奈が待っていた。
「綺麗だね」
「・・・」
「よかったら、俺たちと遊ばない?」
「私、彼氏を待っているんで」
緩奈は、金髪のチャラ男数人からナンパを受けていた。
「いいじゃん。家まで迎えにも来てくれない彼氏なんておいて、俺たちと遊ぼうよ」
「嫌です。・・・あっ。卓也さん」
俺が待ち合わせ場所へ来たに気づいて手を振る緩奈。
「ぷっ。こんな可愛い子の彼氏だから、どんなイケメンかと思えば、おっさんじゃん。おい、おっさん、いくら金を積んで今日はデートしてるんだよ」
いきなり、チャラ男たちに絡まれた。
なんとも幸先の悪く、最後のデートがスタートした。




