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第六十五話
「早速、お話してもいいでしょうか?」
「はい・・・」
俺が席に着くと同時に、道徳さんが話を始めた。
「あなたは、その。うちの娘と付き合っている認識でいいでしょうか?」
「・・・」
「既に、結婚されてますよね?」
「・・・」
「娘と付き合った経緯を教えて下さい」
「・・・」
怒涛の質問責めだった。
別に沈黙でこの場を切り抜けようとしている訳ではない。返答するのに少しだけ、考える時間が欲しい。
「何も喋れないのか!!」
俺が何も答えない事に苛立ってか、初めの丁寧な口調から変わって、声を荒げる道徳さん。
「落ち着いて下さい。一つずつ話をしていきましょう」
なんとか道徳さんを宥めようとしたが。
「なら、早く答えろ。娘と一体どういう関係なんだ!」
ますます、道徳さんは怒りをあらわにしていた。




