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第五十七話

 「じゃあ、帰りま・・・卓也さん?!」


 俺がいる事に驚く、緩奈。

 

 ・・・ミスった。

 

 腕を引かれ、無理やり緩奈を車に連れ込もうとしていると思い、慌てて止めに入ろうとしたのだが、その必要はなかった。

   *   *   *   *

 時は少し遡り、ファミレスで緩奈と妻の浮気相手が二人で歩いているのを見た時に戻る。


 「い、今、妻の浮気相手が歩いてる」

 

 「うん?あっ、本当だ」


 友人が写真と見比べ言う。

 

 「一緒に歩いてる女の子、娘さんかな。もしかして、既婚者じゃない?」


 冷静に分析している友人を差し置いて、急いで俺は会計をする為にレジに向かった。


 「おい?そんなに慌てるなって。今度、興信所に頼むんだろ。今、後を付ける必要は・・・」


 「いいから、後を追うぞ!」


 そこから、友人と二人の後を付けカラオケ店に入って行くのが見えた。

 

 「父と二人でカラオケ。っていうのは流石に可能性が低いな。恋人なんじゃないか?」

 

 「・・・」


 近場のカフェで二人がカラオケ店から出て来るのを待つことにした。


 「すまないな」


 「何言ってんだ。乗りかかった船だ。最後まで付き合うさ」


 二時間ほどで、二人がカラオケ店から出て来た。

 また、二人の後を追う。


 「居酒屋って、あの女の子、未成年ぽかったけど大丈夫か」


 「あぁ。未成年だ」


 「え?もしかして、知り合いなの?」

 

 「あっ。近所の高校に通ってるのを見たことがあって」


 咄嗟に嘘をついてしまった。

 申し訳ないと思いつつ、俺と友人も居酒屋へ入り、二人の方からは見えずらい席に座った。


 「ちょっと、助けてやってくれないか?」


 「任せろ」


 妻の浮気相手が、緩奈に酒を強要しようとしているのを友人に頼んで助けると、逃げるように緩奈を連れて居酒屋を出て行った。

 もちろん、再び後を追った。


 すると、少し歩いた先で、緩奈の手を引っ張り、無理やり路肩に止まっている車に連れ込もうとし始めた。

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