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第五十三話
「はい。生ビールと焼き鳥。ミートソースパスタになります。ご注文はお揃いでしょうか?」
居酒屋の店員さんが注文した料理を持ってきた。
「飲むんだ・・・」
あっ。
テーブルに置かれた生ビールを見て思わず、呟いてしまった。
「あぁ。お酒を飲むつもりだったから、今日のデートは歩きにしたんだよ」
にこやかに言う男。
なるほど。この男がお酒を飲む為にデートでの移動は歩きだったのか。
まぁ、車で来ていたら、私は乗車拒否していた。
「ご馳走様です」
「あれ、もう食べないの?」
「はい。お腹いっぱいなので」
ミートソースパスタを数分で食べ終わって、後は男が食べ終わるのを待つだけ。
「すいませーん。追加お願いします」
え!?
私が食べ終わって、目の前で待っている状況なのに追加でビールと焼き鳥を頼んでいる。
「ごめん。カラオケでずっと歌ってたから、お腹減っててさぁ」




