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第四十六話
「嫌です。私とあなた、どちらも好きでもないのにデートをするつもりはありません」
そう言って、断るも男は、諦める様子はなかった。
「別に好きだから、デートするじゃなくて、好きになるかも知らないからデートする。って事でどうだい?だからさ。デートしよう。そうだ。今週末の土曜日どう?」
「・・・」
しつこい男。
このまま警察に恐喝で、通報してやろうかとも思い始めていけど、男の持つ写真が拡散されるのは本当に困る。
「(黙り込んだな。もう一押しだな、これは)」
私が黙って考え込んでいると男は提案してきた。
「一回だけ、デートしてくれたら俺が持つ写真は消すから。それで相性チェックして、良さそうなら付き合おう。合わないなら、それっきりってことで」
「・・・本当に一回デートしたら、写真は消してくれるんですよね」
「あぁ。もちろん。約束だ」
「なら・・・分かりました」
* * * *
今週末の土曜日。
私は卓也さんの奥さんの浮気相手とデートをすることになった。




