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第三十九話
「(気持ち悪い)」
美喜の顔は、本当にひどいものになっていた。
それもそのはず、リビングから母親の喘ぎ声が聞こえてくるのだ。娘さんである美喜の気分が良くなるなどありえないだろう。
「(・・・)」
私はスマホのカメラアプリを起動させた。
行為を行っている写真さえ、撮影する事が出来れば・・・。
そう思うも、撮影するには、今隠れている場所を出て、リビングの扉を開けるまでしないといけない。
「(もう、証拠の声を録音できたので出ましょう)」
美喜はどうやら、ここに来た目的を達成したようである。
確かに、この声を録音しているなら、浮気の証拠としては十分である。けど、私が欲しいのは関係の修復などしたくもないと思わせるほどの、決定的な証拠。
やっぱり、写真は手に入れておきたい。
「(ちょっと、待ってて)」
意を決して、私は隠れている場所から出た。




