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第三十八話
私と美喜が隠れているクローゼットの部屋に、卓也さんの奥さんが来た。
万が一に備えて、クローゼットの端っこのコート類がハンガーで吊るしてある間に、二人で身を潜めた。
「(ちょっと。狭いんですけど)」
「(我慢してよ。もしかしたら、クローゼットが開けられるかもしれないんだから)」
私の予想は、的中してしまった。
卓也さんの奥さんは、クローゼットを開けて、クローゼット内にあったタンスを漁り始めたのだ。
「(・・・まじで?!・・・)」
タンスから取り出した物に、美喜は驚愕した。
ど派手な黒い下着。
いくら嫌っているからと言っても、自身の母親が、こんなど派手な下着を付ける様子を見たくなかったという感じだろうか。
「ふふーん♪」
ご機嫌な様子で卓也さんの奥さんは部屋を出て、リビングへと向かっていった。
そんな様子を見て、娘さんの美喜は「(マジできもい。ありえないだけど)」と、まるで汚物を見るような目で言っていた。




