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第三十六話
「「・・・」」
美喜と二人で、卓也さんの家の前まで来た。
今、この家の中では不貞行為が行われているに違いな・・い・・えぇぇぇ?!
私は慌てて、美喜の腕を掴んだ。
なんと美喜は家に入ろうとしたのだ。
「(何してるの?!)」
「(何って、私はただ、自分の家に帰ろうとしているだけなんだけど)」
当たり前の様に言う、美喜の神経が分からなかった。
「(馬鹿なの?今、家に帰ったら鉢合わせになるでしょ!)」
「(・・・バレない様にするので、大丈夫です)」
何が大丈夫なの?
もし、これで美喜と鉢合わせになり、相手に見張っているのがバレて警戒されるようになったら、完璧な浮気の証拠を手に入れて、それを卓也さんに見せることで、離婚する決意を固めるという私の作戦にまで影響してしまう。
いや・・・待って。少し考えたら、今こそ完璧な浮気の証拠を手に入れるチャンスなのでは。
「(腕を離して下さいよ)」
「(分かった。離すけど、私も一緒に家に入ってもいい?)」




