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第三十五話
「(・・・来ないないなぁ)」
私は、母のふりをして、学校に電話をかけて休んで卓也さんの家を見張っていた。
その理由は、卓也さんの奥さんの浮気の証拠を手に入れる為。
「あの・・・。何してるんですか?」
「え?!」
後ろから声をかけられて、慌てて振り向くと、卓也さんの娘さんがいた。
「卓也さんの娘さん?!」
「・・・私、美喜って言います。その娘さん呼びは止めて普通に美喜って呼んで下さい。それで、平日の私の家に何の用ですか?今日は父も会社に行って、家には居ませんよ」
怪しい目で、私を見る美喜。
「えっと。・・・あの・・・」
言葉が詰まる。
私が、なんて返事を返そうかと考えていたら、いきなり美喜に押された。
「ちょっと、隠れて下さい!」
卓也さんの家の扉が開き、卓也さんの奥さんが出てきた。すると、若い男が一人、招かれる形で家の中へと入っていった。




