32/107
第三十一話
空港に到着し、電車に乗って最寄りの駅まで到着した。
浮気相手とは空港で別れており、また、来週の平日のどこかで会う約束をした。
「・・・」
通知の来ていない携帯を見つめる。
気掛かりな事がある。
私が、『今空港に着いた』や『駅まで帰って来たよー』と連絡を送っているのに、夫からの返信が一切ない。
今日は土曜日。
普段なら、夫も休みで今の時間なら起きているはず。
嫌な予感を感じつつも、私は家へと帰って来た。
* * * *
「ただいまー」
こっちの気も知らないで、ハイテンションに嫁が家に帰って来た。
「お帰り」
「二週間もごめんね。めちゃくちゃ楽しかった!はい。これ、お土産」
キャリーケースから、封に包まれたお菓子を取り出し「このお土産は・・・」と、楽しそうに旅行の思い出を添えて、話す嫁に重々しく、割り込む。
「お土産の話は、分かったから。話がある」




