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第二話

 「あの!すいません。私の事を助けてくれた方ですよね?」


 「へ?」


 今日もいつもの様に会社へ出勤する為、駅のホームにて電車を待っていたら後ろから声をかけられた。

 振り向くと、自殺をしようとしていた少女がそこにいた。


 「助けて頂きありがとうございます」


 頭を下げてお礼を言ってきた。

 俺は安心した。

 助けた事に対して、恨んでるんじゃないのかと少しだけ不安になっていたからである。


 「俺は赤の他人だから、そこまで君にどうこう言う事はしないけど、あんな事をしようとしちゃ駄目だぞ」


 「はい!」


 元気よく、返事を返す少女。

 もう自殺しようという気はなようだった。


 「今日は伝えたいことが会って、学校をさぼっちゃいました」


 「え。学校をサボるのはよくないよ。お礼は分かったから早く学校にいきなさい」


 少女は見覚えのある制服を着ていた。

 この制服は、自宅近くの高校。


 「違うんです。確かにお礼を伝えたかったのもありますが、もう一つ伝えたい事が」


 少女は、モジモジさせながら言う。


 「実はですね。私、あなたの事を好きになりました。付き合ってください」


 ・・・はぁぁぁぁぁぁ?!


 理解するのに少し時間がかかってしまった。

 動揺する俺を差し置いて、少女は言っちゃったと言わんばかりに嬉しそうで恥ずかしそうに耳まで赤くしていた。

 

 「えっと。君って高校生だよね」


 「はい!そうです」


 「・・・失礼なんだけど、何歳」


 「来月で18歳になります」


 まさか、この歳になって告白を。ましてや、凄い年下から受けるとは思ってもいなかった。

 当然だが、丁寧にお断りした。


 「なんでですか。もしかして、年齢を気にしてますか?大丈夫です。私は気にないので」


 何が大丈夫なんだよ!と内心ツッコミを少女に入れつつ、俺は結婚して子供がいることを話した。


 「分かりました。じゃあ、奥さんと別れるか黙って隠し通しましょう」


 あっ。この子めちゃくちゃだ。


 「あの。駄目ですか」


 「駄目だよ!!」


 上目使いで俺に迫ってくる少女。

 慌てて距離を取った。

 おっさんと制服を着た少女。このままでは警察に通報されるてしまうんじゃないか。


 待っていた電車が駅に到着して、少女から逃げるように乗車した。


 「逃げないでくださいよ」


 当たり前の様に一緒に電車に乗ってきた少女。

 この後、満員電車で少女に弱みを握られるなど思ってもいなかった。

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