第二十八話
「―――それでね。父さんは私の為、おばあちゃんと母さんの事を怒って、家をさ。母方の実家からちょっと距離があるところに引っ越ししてくれたんだ」
「そうなんですね」
娘さんは、過去にあった出来事を嬉しそうに私に語った。
「だから。私は父さんの事が好き」
「―――ッ!!」
飲んでいたアイスコーヒーを吹きかけた。
「あのぅ。凄い反応をしてますけど、勘違いしないでくださいよ。家族として何よりも好きな訳で、恋愛的な好きじゃないから」
娘さんは私の考えている事を汲み取って訂正した。
「それで、そんな私が尊敬している父さんの困らせている、あなたと母さんに、私は腹を立てているんですよ」
「そうなんですか。・・・卓也さんを困らせて、すいません」
頭下げ、謝罪した。
怒っているのだと、宣言されたが、私に出来るのは謝る事ぐらいしかない。
* * * *
パフェを食べて、お店から出る際に「これ以上、父を困らせないでくださいね」と、釘を刺された。
そして、今一人で家に帰っている私は、今にもスキップしそうなくらいに、最高な気分だ。
卓也さんの家から奥さんがいなくなっていると思っていたら、まさか浮気しているなんて。
あのタイミングで、娘さんが帰っていたのは予想外であったが、それ以上の収穫。
卓也さんと私が結ばれるチャンスがきた!!




