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第二十四話
「ふーん。あなたがお父さんの事を脅して、無理やり家にも上がり込んでいたんだ」
「はい。そうです」
一から十まで、緩奈は娘に説明をした。
嘘偽りはなく、自分が一番悪いんだと言わんばかりの説明を。
「で、父さんはどうするつもりなの?」
「どうって、そのな。約束通りに後、一回デートをして、もう二度と会わなつもりでいたんだけど」
「母さんには内緒にしておくつもりなの?」
「それは・・・」
言葉が濁る。
正直に言うべきなのか。
世の中には知らぬが仏という言葉がある。それは、前に一度、勘違いで浮気を疑われた時になる。
その時は大変だった。何を言っても、あなたが浮気したから慰謝料を払って、別れてくれ。娘の親権は母親の私が持つべきだ。疑いを晴らすまで、この一点張りだった。
「話す気なら止めた方がいいよ」




