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第十五話
「すっっっっっごっい!」
女性の飼育員さんに連れられて、動物たちが寝る場所。つまりは動物園の裏側にやってきた。
「すいません。ここでは、あまり大声は出さないでくさい」
「あっ。ごめんなさい」
興奮気味の緩奈は注意を受けてしまった。
「はい。ここです。ゾウのさくらちゃん」
ゾウがいる場所に着いた。
「(・・・凄い迫力)」
さっきまでは、溝越の少し距離のある場所からゾウを見ていたのだが、今回は違う。
かなり近い距離で、ゾウと対等の高さの位置でゾウを見ることが出来るので、ゾウの大きさがしっかりと分かり、若干、ビビッている自分がいた。そんな、俺とは正反対に、緩奈は目をキラキラに光らせていた。
「どうですか?」
「どうって?」
女性の飼育員さんの質問が何に対してなのかが、分からなかった俺は質問を聞き返した。
「ゾウを見れてですよ」
質問は俺にではなく、緩奈に向けられたものであった。が、緩奈は「わぁぁぁ」とゾウを眺め続けて、完全に自分の世界に入り込んでしまっている。




