14/107
第十三話
「見てください。あれ!ホワイトタイガーですよ。卓也さん。知ってますか?日本には44頭しか飼育してないんですよ」
「おぉ。そうなのか」
「そうなんです。それで・・・」
おおはしゃぎで、色々と説明してくれる緩奈。
まさか、こんなにも動物園が好きなんて知りもしなかった。
* * * *
『間もなく当園は閉園の時間になりました。本日はお越しいただき・・・』
園内アナウンスが流れ、日も沈みつつ、徐々に辺りも暗くなっている。
「あれ、もう閉館の時間?!」
「そうだな」
緩奈は動物園に来てから、楽しそうに、ずっと動物の事についてしゃべり続けていた。
「卓也さん。最後に、もう一度だけ、ゾウを見に行ってもいいですか?」




