第十話
「それじゃあ。二週間、家の事よろしくね」
「あぁ。楽しんでこい」
朝、沙苗は子供みたいにウキウキで、キャリーケースを持って家を出た。
俺もそろそろ会社に出勤しないと。
* * * *
「ただいま」
会社から帰っても、家に誰もいない。
こんなにも静かな家、独身時代の時、以来だな。
風呂に入り、簡単な夕食を作って食べ、ソファに座り缶ビールを開けた。
テレビを見ながらのんびりしているとスマホにメッセージが来た。
『卓也さん、何してますか?』
緩奈からのメッセージだった。
正直、関わりたくない。このまま既読を付けずに無視しよう。
『メッセージ無視してたら、どうなるか。分かりますよね?』
脅された。
はったりかも知れなかったが、無視し続ける勇気はなく、『何?』と返事を返した。
『卓也さん、ちゃんとデートプラン考えてくれてますか?今週の土曜日にデートお願いします』
デートの日付を指定された。
* * * *
「ふふーん♪」
鼻歌まじりで、私は彼が先に待つ駅まで歩いていた。
まさか、あんなに上手くいくとは思わなかった。
嫌がる娘を無理にでも実家に預けて本当に良かったと思う。




