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―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟 その異世界を巡る叙事詩――  作者: EPIC
チャプター4:「力を保つ手段を探して」
59/224

4-5:「夜を過ごす ―勇者達の場合―」

 紅の国、領内。

 日が傾き始めて少し経った頃に、水戸美達と商隊一行は、目的地であった〝風精の町〟へと到着。

 水戸美達と商隊一行は、それぞれの馬や馬車を町の入り口に設けられた厩舎へと預け、町へと入った。


(うわ……絵本やゲームで見るような町並み……)


 町の城門を潜った水戸美の目に飛び込んで来たのは、現代日本のそれとはかけ離れた光景であり、水戸美はそれに目を奪われた。


「さて、まずは宿を探さなきゃね」


 そんな水戸美をよそに、ファニールやクラライナは今日の夜を越す宿を見つけるべく、算段を始めていた。


「ファニールさん。この町には、我々がよく世話になる宿屋がある。よければファニールさん達もそこに泊ったらどうだい?」


 そこへ提案の言葉を掛けたのは、馬車で手綱を握っていた、商隊のリーダー格である男性だ。


「なかなかいい宿なんだよ」


 そして水戸美を手当てした商隊の女性が付け加える。


「えーっと……ちなみにそこのお代ってどれくらい?」


 そんな二人の勧めに、しかしファニールはおずおずとした様子で尋ねる。


「あぁ、金額かい?えっと――」


 男性はファニールにその宿の金額を提示して見せる。


「う……あぅ……」


 それを聞かされたファニールは、言葉を詰まらせ、そして項垂れた。


「ど、どうかしたかい?」


 あからさまに項垂れたファニールに、男性は若干戸惑いながら問いかける。その問いかけには、ファニール当人ではなくクラライナが答えた。


「その……お恥ずかしい話なんだが、私達は若干金欠気味なんだ」

「だから良い宿に泊まる余裕はちょーっと無いかなー、って……あはは……」


 そして顔を起こしたファニールが、困り笑いを浮かべながら言う。


「まったく。前の町で後先考えずに新しい剣など買うから……」


 そんなファニールを、クラライナは呆れた目で見ながら発する。


「だ、だって……!鋼龍の巨大鱗から削り出した剣なんだよ!出物なんだよ!?クラライナも、ミトミさんを助けた時に、これの切れ味見たでしょ!」


 クラライナの呆れた視線を感じ取ったファニールは、慌ててクラライナへと振り向くと、自身の背負う大剣を指し示して、その素晴らしさを必死に訴え出した。


「武器が大切なのは分かる。しかしそればかりに資金を全て吸い上げられてしまっては、元も子もないだろう?」

「うー……」


 しかし結局ファニールはクラライナのその言葉には返せず、小さく唸り縮こまってしまった。


「あはは……」


 そんなやり取りを端から見ていた水戸美は、困り笑いを零す。


「まぁ、私達は安宿を探すとして……ミトミさんはどうしたい?」

「……へ?」


 しかしそこで話が自分へと向き、水戸美は呆けた声を上げた。


「少し落ち着きたいだろう?ミトミさん一人分くらいの宿代ならなんとかなる。よければ、彼等と同じ宿に泊まるといい」

「そだねー。疲れてるだろうし、安宿じゃやだよね。そうしなよミトミさん」

「え、で、でも……」


 クラライナやファニールの勧めに、水戸美は若干狼狽える。


「こっちとしては大歓迎だよ。色々話も聞かせて欲しいしさ」


 そこへ狼娘が発し、商隊一行側も受け入れる姿勢を見せる。


「えっと……せっかくですけど、私はファニールさん達と一緒がいいかな……なんて……」


 しかし水戸美はファニール達と共に宿泊する事を選択し、そう回答した。


「え、ボク達と?」

「あ、足手まといならいいんです!ただ、ファニールさん達と一緒の方が安心するっていうか……」


 回答の後に、水戸美は取り繕うように言葉を捲し立てる。


「足手まといだなんて、そんな事ないよ!元は一緒の宿の予定だったんだし!」


 そんな水戸美に対して、ファニールは慌ててフォローの言葉を入れた。


「あっはっは、フラれちゃったな」


 そんな様子を見ていた狼娘は、笑い声を上げる。


「す、すみません……」

「謝る事じゃないよ。そりゃ、できれば自分を助けてくれた勇者様と一緒にいたいよね」


 申し訳なさそうに謝罪した水戸美に対して、狼娘は笑って返した。


「確かに、寄る辺の無いミトミさんの心情も考えるべきだったな。すまなかった」


 そして今度は、クラライナが水戸美に向けて謝罪する。


「あ、謝らないでください……!私のワガママなんですから!」


 それに対して、水戸美は慌て、困惑した様子で返した。


「決まりかな。という事で、ボク達三人は安宿を探す事にするよ。せっかく誘ってくれたのに、ゴメンね」

「とんでもない。それより、この町には安いけどうまい料理を出してくれる酒場があるんだ。よければ、夕食くらいはそこで一緒にしないかい?」


 商隊一行のリーダの男性は、ファニールの謝罪を受け入れ、そして改めて彼女達を夕食に誘う。


「クラライナ、安くておいしいご飯だって。それならいいよね?」


 その情報を聞いたファニールは笑みを浮かべて、クラライナに同意を求める。


「勇者様、意地汚いぞ……だが、助けていただいた一行からのお誘いを、これ以上無碍にしては失礼だな。ご一緒させていただこうか」


 クラライナはファニールの姿勢に呆れながらも、商隊一行の誘いを受けることに同意する。そして水戸美達と商隊一行は待ち合わせ場所を決め、一度分かれて後ほど落ち合う事となった。




 その後、水戸美達は適当な安宿を見つけ、そこで部屋を一つ取った。


「ふぅぅ……」


 水戸美は室内に置かれたベッドに腰を降ろし、息を吐く。

 今現在、ファニールとクラライナは宿のホールへ情報収集のために降りており、部屋内には水戸美の姿だけがあった。

 水戸美はそのまま上半身をベッドへと倒す。あまり良いベッドでは無かったが、疲れが溜まっていた彼女の身体には、それでも心地が良かった。


「とんでもない事になっちゃったなぁ……」


 ベッドに身を預け、そんな言葉を呟く水戸美。正直な所、水戸美は自身の身に起こった出来事を、未だに信じ切れてはいなかった。


「よく分からない世界に来たと思ったら、いきなり襲われるし、まるでゲームの中みたいな事が次々と起こるし……この先どうなっちゃうんだろ?」


 少しのこの先の事を考えてみた水戸美。しかしあまり建設的な物とはならず、彼女はやがて考える事を止めた。


「……そうだ」


 そして彼女は上体を起こし、ベッド脇に放り出していたバッグを手繰り寄せ、その中身を引っくり返す。


「……あんまり使えそうな物はないなぁ」


 バッグから出て来た物は、参考書やルーズリーフ、筆記用具、少しのお菓子、ets――。

 彼女はその内からルーズリーフを手に取り、開いてページをパラパラと捲る。


「……久しぶりに見直したけど、変な内容ばっかり……教授、妙な講義ばっかりするんだもんなぁ……。こないだなんか油まみれになるし……」


 ルーズリーフに綴られた内容を見返しながら、呟き零す水戸美。


「ミトミさん?」


 その時、部屋のドアが開かれ、ファニールが室内へと姿を現した。


「あ、ファニールさん」

「大丈夫?これから夕ご飯に行こうかと思ったんだけど、もしかして疲れちゃってる?」


 ファニールはベッドに腰掛ける水戸美を見て、心配する声を掛ける。


「あ、いえ、大丈夫です。行きます」


 しかし水戸美はそれに慌てて平気な旨を返し、バッグの中身を戻して立ち上がった。




 水戸美達は取った安宿に荷物を置き、商隊一行との待ち合わせ場所に赴いていた。


「エルコーさん達、遅いなぁ……」


 待ち合わせ場所で呟くファニール。エルコーというのは商隊一行のリーダー格の男性の名だ。


「あ、来ましたよ」


 その時、水戸美が声を上げ、視線の先を指し示す。町路の向こうから商隊一行の皆が歩いて来る姿があった。


「ん、何か妙じゃないか?」


 しかしそこでクラライナが、一行の様子がおかしい事に気付く。

 商隊一行は、皆荷物を抱えたままであり、そして皆一様に困惑した顔を浮かべていた。


「やぁ、ファニールさん。待たせてしまって申し訳ない」


 歩み寄って来たリーダー格の男性エルコーが、ファニール達に向けて謝罪の言葉を述べる。


「ううん、全然。それよりどうしたの?皆荷物を持ったままみたいだけど?」

「ああ、それが……先程話した、私達が泊る予定だった宿が、なくなってしまっていてね……」


 ファニールの質問に、エルコーは困惑した様子でそう答えた。


「無くなっていた?」

「ああ、なんでも尋ねてみれば、三月程前に突然夜逃げしちまったっていうんだ」


 クラライナの重ねられた疑問の言葉に、今度は狼娘が答える。


「あそこの店主は、そんな下手な経営をする人じゃなかったんだがなぁ」


 そして呟くエルコー。彼だけでなく、商隊一行の皆は、一様に納得のいかない様子だった。


「あぁ、失礼。とにかく、そんな事で急遽別の宿を探さなくてはならなくなってね」

「あ、それなら私達の宿なら、まだ空きの部屋がありましたよ」


 そこへ水戸美が提案の言葉を発する。


「ただ、ボロっちいけどね」

「そのボロっちい宿に私達が泊る事になった原因は、誰にあると?」

「う……」


 ファニールの軽口に、クラライナが鋭く突っ込みを入れる。


「いいじゃないか。せっかくだし、あたし達も一緒の宿に泊まるとしようよ」


 そこへ狼娘がフォローの言葉を入れた。


「そうだな、そうするか」

「では、一度宿へ――」


 エルコーの言葉を聞き、クラライナは宿への案内を買って出ようとする。


「いや、先に夕食を済ませよう。こっちから誘っておいて、後回しにさせるのも悪い」


 しかしエルコーはそう提案の言葉を発した。


「いいのかい?」

「いいって、あたし達も腹減ってるしね!」


 クラライナの言葉に、狼娘が返す。そして水戸美達はその提案を受け入れ、先に食事を済ませに酒場へと向かう事となった。




「ぷはっ!うまい!」


 酒場内の一角にあるテーブルにて、酒を勢いよく飲み干す狼娘の姿がある。


「うん、これおいしいよ!」


 一方で、テーブルの上に並んだ料理を次々と平らげてゆくファニールの姿がある。


「酒のおかわりちょーだーい!」

「……」


 そしてそんな二人の様子を、呆気に取られながら見ている水戸美の姿があった。

 酒場に入って席を確保し、注文した酒や料理が運ばれて来て以来、狼娘やファニールはこの調子であり、水戸美はそんな二人に視線を奪われていたのだ。


「二人とも、すごいですね……」

「ああ、勇者様の大食いのせいで、いつも出費がかさむんだ……」


 水戸美の零した言葉に、クラライナは若干眉間に皺を寄せて、呆れた様子で呟く。


「むぐ!?――だ、だって、町に寄った時じゃないとおいしい料理なんて食べられないし……!」

「はいはい、分かったから食べてる最中にしゃべらない。もっと行儀よく!」

「むぅ……」


 まるで子供の用にクラライナから注意を受けたファニールは、唸りながらもしかし食事の手を止める事はなかった。


「しかし……やはり腑に落ちないな……」


 一方で、常識的なペースで酒を嗜んでいたエルコーが、その時呟き声を零した。


「先程の宿の件か」


 それにクラライナが反応する。


「あぁ。以前訪れたのが半年前だったんだが、その時にはとても経営難に陥っているとは思えなかった」

「それなんだけどよ――」


 エルコーの零した疑問に、一人の青年が酒を片手に空いた席へと付きながら、声を被せる。青年は、商隊一行の護衛剣士であった。


「カウンターでちょっと聞いてみたんだが、どうにも町ではこんな事が続いてるみたいなんだ」

「こんな事って?」


 青年の言葉に、エルコーは疑問の声を返す。


「経営の順調だった所が突然倒産したり、知らずの内に夜逃げしてたりって事が、少なくない件数で起きてるらしいぜ」

「不景気……なんですかね?」


 青年の加えての説明に、今度は水戸美が推測の言葉を零す。


「それにしても妙なんだ。そうやって無くなっちまう所がある一方で、今まで芳しく無かった所が、急に活気付きだしたりしてる例もあるそうでな」

「それは、妙だな……」

「少し、調べてみたほうがいいかもしれないな」


 さらなる説明に、クラライナが訝しむ声を上げ、そしてエルコーがそんな言葉を呟いた。


「うんにゃ~?どうしたんだ、みんな~?」


 しかしその時、神妙な空気を崩すように、狼娘が会話に割り込んでくる。かなりの量の酒を飲んだのか、彼女は相当に出来上がっていた。

「ひゃ!ち、チナーチさん!」


 チナーチというのは狼娘の名だ。

 酔いの回った彼女――チナーチは、水戸美に絡みだす。


「辛気臭い顔しちゃって~、綺麗な顔が台無しだ~」


 水戸美に抱き着き、そしてぐでーともたれ掛かるチナーチ。


「わう……」


 そして彼女はそのまま、パタリと気を失ってしまった。


「あやや……」


 そんなチナーチに、困惑する水戸美。


「またか。しょうがないな……」


 そんなチナーチを見て、呆れながら立ち上がったのは、ミトミを手当てした女性だ。

 彼女は水戸美にもたれ掛かるチナーチを引き剥がし、抱え上げる。


「エルコー。私はファニールさん達の宿に先に行って、部屋を取っておくよ。ついでに、この娘を放り込んでおく」

「すまん、頼む。こっちは俺が支払っておく」


 女性の言葉に、エルコーも呆れた表情を浮かべながら発する。


「手を貸そうか?」

「いや、大丈夫。そっちはゆっくり食事を楽しんでて頂戴」


 クラライナの申し出を商隊の女性は笑いながら遠慮し、そしてチナーチを抱えて先に酒場を後にした。


「だ、大丈夫なんですか?」

「いつものことさ。酔いが回りやすい体質なのに、いつも調子に乗るんだから……困ったもんだ」


 水戸美の心配する言葉に、エルコーは困り笑いで返す。


「お気持ち、察するよ……」


 一方のクラライナは同情的な言葉を発すると共に、チラリと自分の隣の席を見る。


「むぐむぐ――ん~?何の話?」

「……はぁ?」


 以前、料理を遠慮なく堪能し続けているファニールの姿に、クラライナは小さくため息を吐いた。




 それからまた時間が経過。

 水戸美達は酒場での食事を終え、宿へと戻って来た。


「はふ~、満足」


 取った部屋に戻って来たファニールは、満足そうに言葉を零しながら、ベッドへと身を投げ出す。


「靴を履いたまま寝転がらない!」

「うぅ、は~い」


 しかしそこでクラライナから注意を受け、ファニールは渋々半身を起こし、靴を脱ぎ始める。


「――そうだ、ミトミさん」


 その途中で、ファニールは思い出したように水戸美へと顔を向け、声を掛けた。


「はい?」

「疲れてるかもしれないけど、寝る前に話しておきたい事があるんだ」

「話……ですか?」


 水戸美の疑問の言葉に、ファニールは頷く。


「うん。お昼にも話した通り、ボク達は魔王討伐のために旅をしてる。とても長くて、そして危険を伴う旅なんだ。――正直、この先の旅で何が起こるかはボク達にも分からない……だからね……」


 そこで言いづらそうにしたファニールを、クラライナが引き継いで言葉を発する。


「安全を考えるなら、ミトミさんはここで別れた方がいいかもしれない」

「え……」


 水戸美は発せられたその言葉に若干顔を曇らせるが、クラライナは続ける。


「この町で身を寄せられそうな所を見つけるという手もあるし、エルコーさん達に同行させてもらえるよう頼むという手もある。もちろん、私達も手伝うが……」

「あ、あの!待ってください!」


 しかしクラライナの言葉を、途中で水戸美が遮った。


「ん?」

「その……ファニールさん達と一緒に行くのは……ダメなんですか……?」


 そして疑問の声を上げたクラライナに、水戸美は恐る恐る尋ねる。


「……いや、ゴメンなさい。勝手な事言っちゃって……ご迷惑ですよね……」


 しかし彼女は直後に、自らの言葉を撤回し、謝罪の言葉を零す。そして水戸美はそのまま押し黙ったが、その表情はみるみる不安に染まっていった。


「「!」」


 それを見て、今度はファニール達の表情が変わる。


「あわわ、そんな悲しそうな顔しまいで!」

「す、すみま――ひゃわ!?」


 そして次の瞬間、ファニールは水戸美に思い切り抱き着いた。


「大丈夫だよー!ミトミさんを置いてったりしないから!」


 さらにミトミをワシワシと撫でまわすファニール。


「だからそんな、捨てられた子猫みたいな顔しないでー!」

「わ、わかりました!だから……」


 ファニールに撫でくりまわされ、困惑する水戸美。


「勇者様。ミトミさんが戸惑ってる」

「へ?……あ、ご、ごめん」


 そこで水戸美の状態に気づき、ファニールは彼女を解放した。


「い、いえ……こちらこそごめんなさい」


 そして謝罪の言葉を発した水戸美に、クラライナは「いや」と言葉を被せる。


「こちらこそ配慮が足りなかったな……誤解しないでくれ、水戸美さん。今のは、あくまで一つの案として言ってみただけなんだ」

「じゃ、じゃあ……ファニールさん達と一緒に行っても……?」

「もちろんさ、当初はそのつもりだったしな。ミトミさんが望むなら、何も問題はあるまい」


 クラライナはそこで、その凛とした顔に優しい笑みを浮かべて、水戸美の言葉を肯定してみせた。


「ごめんね?変な事言って不安にさせちゃって」


 そしてファニールも、謝罪の言葉を述べた。


「いえ、我儘言ってすみません……でもちょっと、安心しました」

「それは良かった――さて、では決まった所でどうする、勇者様?明日には出発する予定だったが」

「ミトミさんが落ち着くまで、この町に滞在しようか?」


 話が纏まった所で、クラライナとファニールは今後の予定を水戸美に向けて提案する。


「そ、そこまで迷惑かけられません!これからは、私がファニールさんとクラライナさんに合わせます!」

「いいの?大変だよ?」

「大丈夫です……たぶん」


 水戸美は少し不安になりながらも、コクリと首を振り肯定する。


「では予定道理、明日には出発しよう。ただ、出発前に、ミトミさんの分の用具を用意しないとな」

「だね。それと、ボク達と一緒に行くなら、覚悟してね?クラライナの馬ちゃんは基本荷物運び用だから、道中はずっと歩きになるよ?」

「が、がんばります」


 ファニールの言葉に、水戸美は少し気圧されながらも頷く。


「それに、道中でこわ~い魔物に出会う事も――むぺ!?」


 言葉の途中で、ファニールは奇妙な声を発する。見れば、クラライナがファニールの頬を掴んでいた。


「必要以上に脅かさない!大丈夫だ、ミトミさんの身は私達が守るから。そうだろう、勇・者・様?」


 ファニールの頬を掴んで彼女の眼を睨みながら、クラライナは怒気を込めて発する。


「ふぁい……がんばりまふ……」

「あはは……」


 そして今度は自身が気圧されながら発するファニール。そんな二人のやり取りに、水戸美は困り笑いを浮かべた。

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