スライムスタンピード本番②
「俺たちはこの作戦に参加します」
この戦いは勝つ確率が高いし、さっきまでの戦いでかなりの経験値が集まり、何度かレベルアップした俺はアシッドスライムと戦った時よりも強くなっている。
しかも苦戦していたDランクのスライムも大人数で戦うなら油断さえしていなければ普通に勝てる。
さらにこの依頼に参加したら冒険者ランクが上がるかもしれない。
Cランクのスライムが不安だけど、まあ何とかしてくれるだろう。
「ありがとう。正直断られるんじゃあないかと、ひやひやしたよ」
「勝つ確率が高いですから参加しますよ」
相手は強いやつばかりで、倒した時の経験値はかなり多いはずだ。
何人かで分けたとしてもレベルは上がるだろう。
「そうだけど、まあ何が起こるか分からないからね」
確かに前に戦ったアシッドスライムの自爆は危なかった。
でも、アシッドスライムの魔力操作や気力操作のレベルが低かったから、自爆するまでに少しタイムラグがある。
自爆するまでに距離を取ってガードしたら何とかなる。
「でも、負けそうになったら俺たちは多分逃げます。・・・それでもいいですか?」
「もちろんだよ、俺たちも負けそうになったら逃げるつもりだし、それに参加してくれるだけでもありがたいよ」
「そ、そうだったんですか!」
「そりゃあ自分の命や仲間の命は大事だし負けそうになったら逃げるよ。冒険者は退き際を間違えたらすぐ死んでしまうからね。でも街の人が避難できるぐらいの時間は稼ぎたいね」
「そうですね」
「さて、そろそろ魔法が届く範囲にくるよ。さっきいた高台に戻るよ」
「はい」
高台からスライムを見ると、思っていたよりでかい。
どのスライムも最低でも直径2メートル以上あり、大きいやつだと10メートル弱ほどある。
色は青や緑、紫、赤と個性的だ。
そして群れの中心にいるCランクのスライムは、直径7メートルほどの白い色をしたスライムだ。
俺は家出前に魔物の図鑑などにを読み、それなりの数を覚えた。
そしてスライムは特に種類が多く、数え切れないほどいる。
読んだ図鑑の中にスライム図鑑という本があり、その本の内容はスライムだけだったが膨大なページ数だった。
しかし、膨大なページ数を誇ったスライムは図鑑だが、まだまだ足りない。
新種も続々と発見されており、図鑑をどんどん更新しても追いつかない。
スライム図鑑を完成させるのは不可能と言われている。
さらに悪いことにスライムは似ている見た目が非常に多い。
だから鑑定しないとスライムの種類が何かまったく分からない。
つまり、あのスライムの種類は全く分からない。
だから伝令の人もCランクの魔物と曖昧なことを言ったのだろう。
おそらく見つけた人はあのスライムの種族名が何か知らないから、気配感知や強者感知などのスキルでランクを決めたのかな?
一応ゾルさんにあのスライムの種族名を知っているか聞いてみるか。
「ゾルさん、あのスライムの種族何か分かりますか?」
「全く分からないな。似たような色のスライムと戦ったことがあるけど強さと大きさがが違う」
「そうですか、今回はどのスライムを狙うつもりですか?」
「そうだねー、あの当てやすそうな一番大きいいスライムを狙うよ。君たちも同じ相手を狙ってほしい」
「分かりました」
「他もそれでいいか?」
「「「はい」」」
「あとMP回復薬は大量にあるから、消費量度外視で撃ってね」
「「「はい」」」
じりじりと近づいてきており、強烈なプレッシャーを感じる。
それに比例して俺の闘争本能がどんどん上がってきている。
何でだよ、強いやつを目の前にしたら闘争本能が滾ってくるんだよ。
まあ、これがあるから相手の方が強いと分かっていても戦えるのだけど。
何とかならないかな、これ。
「タイミングを合わせる、10秒後に撃て。10、9、8、」
ちょっと遠いな。
届くけどかなり威力は下がるぞ。
「7、6、5、4」
でもゾルさんの事だから何か考えがあるのかな?
撃つ魔法は射程も速度もそこそこあるこの魔法にしよう。
「3、2、1、撃て」
『氷雪槍』
氷雪槍は氷雪魔法レベル4で覚えることができる魔法で、射程も速度もある優秀な魔法だ。
そして攻撃力は高いが、貫通系の攻撃であるため攻撃範囲が狭く、氷魔法より上位の魔法スキルであるためMP消費量が多い。
あの巨大なスライムには効果が薄いかもしれないが、この距離ではこの魔法が一番ダメージを与えられるはずだ。
およそ20もの魔法が飛んでいき、巨大スライム当たった。
しかし、巨大スライムの表面しか削れなかった。
そして今の攻撃のお返しのようにスライム側からもいくつも魔法が飛んできた。




