表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神様に惚れたので異世界で頑張ります  作者: 木川 陸
戦争偏
525/555

宰相戦④

 どうやってもネアスの防御を突破できない。

 というより倒すことができない、ダメージは与えることができるがHPが0になるまで削り切れないのだ。

 威力も手数も足りない。

 今はナファリアさんが戦線に復帰し、指揮官の隣にいる精鋭の護衛3人が一斉に攻撃して均衡を保っているだけでHPはたいして減っていない。


 ナファリアさんの刀は触手を斬り落とせるが、ノコギリのように引いて斬る関係上斬り落とすのにほんの少し時間がかかる。

 いつもなら気にならないような時間だが敵はその隙にもう1本の触手で攻撃が可能だ。

 最初は攻撃をくらいながら触手を斬り落としていたが、ナファリアさんがくらったダメージを考えると割に合わない。

 今は触手に小さな切り傷を作る程度の攻撃をしたら追撃が来る前に引いている。


 指揮官の護衛も前衛は槍と剣で、後衛は魔法で戦っているが、槍や剣はナファリアさんと同じというよりナファリアさんの劣化だ。

 そして魔法は、護衛の後衛1人が対応しているが抑えられず前衛がダメージを負っている。

 後衛のさらに後ろにいる味方が前衛に回復と補助魔法で援護し、後衛には防御系の魔法を一緒に使って防いでいるおかげでなんとか戦線は保たれている。

 だがこの均衡も長くはもたない、前衛1人でも脱落したら戦線を維持するのは困難だ。


 そうこうしている間にも怪我は治った、これで戦闘に参加できる。

 前衛として今戦っている人のサポートに入るべきか?それとも後衛として敵の妨害に徹するか?

 一瞬悩んだがすぐに前衛に入ることにした。

 理由は2つ前衛の負担を少しでも減らすことと、敵の弱点を探るためだ。

 このままでは敵のHPを削り切れない、だったら弱点を突いてこのバランスを崩す。

 そのために弱点を探りやすい前衛を選んだ。


 さっそく前線に行こうとしたが、ある一定の距離まで近づいたところで足を止めてしまった。

 原因は触手による攻撃だ、触手の射程範囲に入った瞬間触手による攻撃が飛んでくる。

 1発や2発なら問題ないが、同時に5本の触手で攻撃されかけた。

 このままでは前線までたどり着かない、だがこのことについて少し疑問が浮かんだ。

 なぜ俺に対しての攻撃がこんなに激しいんだ、と。


 前衛に使われている触手は1人につき3本、ナファリアさんには5本使われている。

 そして俺には5本、どう考えてもおかしい。

 あきらかに俺よりナファリアさんのほうが強い、だが俺に対する対応はナファリアさんと同じ、まさかとは思うが俺とナファリアさんは同格だと考えているのか?

 どう考えてもナファリアさんの方が上だろ。


 前衛の人数が増えることをそれほど危惧しているのか?

 確かに今は均衡を保っている、だがここに前衛が1人追加されたらといって均衡が崩れるとは思えない。

 もしかしてネアスは思っているほど余裕が無いのか?

 もしそうなら絶対に前衛に立ってやる。


「『氷獄生成』」


 氷の槍を作り出し味方に当たらないよう調整した後思いっきりそれを放った。

 ネアスは氷の槍に魔法をぶつけ相殺する。

 そして氷の槍は後衛と前衛のちょど真ん中で消滅した。

 だがネアスはまだ魔法を放ち触手で攻撃する。


 まあ当たり前か氷の槍の背後に俺がいるんだから。

 氷の槍は目くらましと盾に使った、あわよくばまだ気づかれたくなかったが、ネアスには俺の隠蔽系スキルは通用しなかった。

 氷の槍が破壊された後、氷の槍が放たれてから準備していた魔法を使った。

 魔法により氷を盾のように展開する。


 触手が攻撃することで左右の盾が破壊され、魔法が放たれることで正面の盾が穴だらけになった。

 そして走った衝撃で完全に氷の盾が割れ崩れ落ちた。

 だが俺は目的地、前線まで無傷でたどり着くことができた。

 他の前衛と同じ様に触手が襲いかかってくるが、その動きは後ろで見ていた、その対処法も。


 他の前衛と同じ様に迫ってくる触手をカウンターで斬り裂きながら囲まれないよう、そして常に逃げ道を作りつつ攻撃している。

 俺より格上の攻撃を捌けるが、敵の弱点を探す余裕はなく前衛を選んだ理由の一つは果たせそうにない。

 だがもう一つの理由である前衛の負担を減らすのは成功していた。

 全体的にほんの少し触手の動きが鈍くなっており、攻撃のさえもなく分かりやすくなっている。


 こいつは近接戦の経験は少ない、それに1対多の戦いの経験も。

 そもそもこいつぐらい強ければ少し触手を動かしただけでだいたいの兵は倒せるし、種族名的にメインは魔法だ、そんなやつが近接戦が強いと言うことはほぼない。

 俺たちをなめていたから近接戦でも戦えるだろうと思っていたが想像以上に俺たちが強くて焦ったな?だから俺が前衛に入るのを阻止しようとした。

 前衛の人数が増えたことでネアスの魔法に集中できなくなり弱まっている。


 このままなら勝てる!と俺は思ってしまった。

 それが間違いなのはこの後、代償を払って知ることとなるだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ