帝都へ
魔王を凍らせてからは早かった、何度か魔王を救出しようと戦闘に巻き込まれないように離れていた敵兵が押し寄せたが、魔王がやられたことで士気の低下、さらにナファリアさんが暴れたことで瓦解、そして魔王が封じられた話が戦場に広まり敵に勢いがなくなった。
最終的に指揮官が降伏すれば命までは取らないと言って一人、また一人降伏しだした。
これで戦争は終わりか、大変だったな。
今回の依頼で払われる報酬は一体いくらになるか楽しみだ。
何度も危険な場所に行ったからその分だけ報酬は増えるし、魔王を止めた一人でもあるからさらに報酬が増えるはずだ。
500万リン以上は確実だ。
「終わったね~」
いくら報酬が渡されるか想像していると、背後から声が聞こえた。
それと同時に声をかけた人物と、その人とした約束を思い出した。
「そうですね、やっと戦争が終わりましたね」
「じゃあさっそく~」
ヤバいこのままだとすぐ試合が始まる。
どうにかして試合を避けようと考えていると、ポンと肩を叩かれた。
振り返るとそこには赤の三剣が立っていた。
自分の幸運をかみしめるのと同時になぜここに3人がいるのか疑問に思った。
「坊主が魔王を凍らせたんだよな?今指揮官から魔王を凍らせたやつは誰か探しておったぞ」
「えっそうなんですか、じゃあ行かないと。ナファリアさん続きはまた後で、・・・やっぱりナファリアさんも来ませんか?魔王を封じ込めるのに一番貢献したのはナファリアさんだし」
ナファリアさんがいなければそもそも魔王を封じ込めるのは不可能だった。
それにしゃべっている最中に気付いたが俺一人で行っても信じられない、まあこれは年齢的に仕方がない。
だったら証人としてナファリアさんが来てくれないと困る、ナファリアさんがいたら疑われないだろう。
「分かった~行こ~」
そしてドガルニさんに教えてもらった場所に俺とミリアとナファリアさん、ついでにヒスイと一緒に行った。
ドガルニさんに教えてもらった場所は魔王を封じ込めたところだった。
そして氷に覆われた魔王の前で指揮官たちが話し合っていた。
「すいません、魔王を凍らせた人を探していると聞いて来ました」
「おお、君たちか。魔王の倒した偉業はこの大陸中に広まるだろう。その姿からして冒険者か報酬には色を付けるように言っておく」
「ありがとうございます」
「ふむ、さっそくで悪いが、この氷を解かすことはできるか?」
あっ!戦っている時は必死で忘れていたけど、解かすこととかまったく考えていなかった。
どうしよう、このまま放置していれば勝手に解けるかな?でも解ける前氷の中にいる魔王が生きているとは限らない。
でも今氷を溶かす必要あるのか?いつかは解かさないといけないだろうけど、今すぐする必要は、・・・魔王の命が危険かどうか分からない限りあるか。
指揮官としては死んでいる状態よりも生きている状態の方がいいだろうし。
「えっと、火魔法を氷に当てれば解けると思います、それ以外だと魔王に当たらないように氷の部分を壊すとか、ぐらいです」
「そうか、君は氷を解かせないのか?」
「はい、火魔法は得意じゃなくて、氷を破壊する方は魔王を傷つけない自信はありません」
「そうか、ではこの氷が解けるまで待っててくれ」
「はい」
それから指揮官は兵士を数人連れて来て火魔法を使わせて氷を解かしたが、ある程度まで解かしたら内側から氷を破壊するため魔王が暴れだし、再び凍らせることになった。
その後指揮官内で話して合った結果このまま帝国側に引き渡すことになった。
このまま氷を解かしたら間違いなく暴れるし、このまま凍らせて人質として使った方が交渉には有利だからだそうだ。
交渉は帝都は帝都で行われることとなりその際護衛の人数についてかなり言い争った結果500人の護衛が許された。
交渉の場に500人のの護衛、しかも帝都の目の前には数万の兵がいるのに大げさだと思ったが、この前送った使者が殺されたから警戒しているのかもしれない。
そして護衛の500人の中には俺とミリア、そしてナファリアさんの名前があった。
二日後、俺たちはヒスイを置いて、帝都の中へと護衛としてはいった。
ヒスイは一緒に戦った目撃者も多いし間違えられることは無いだろう、それに念のため首に布を巻きつけている。
帝都の中は閑散としていて俺たちが通った通りはほぼ人はいなかった。
おそらく戦争に負けたことを知っているんだろう。
そして帝都の中心にある城にたどり着いた時、いやな予感がしたがそれを無視して城の中へと入った。




