本陣攻略⑤
更新が遅れてしまい申し訳ございません。
本陣から1キロほど離れた場所に飛行部隊約40人が待機していた。
そして、その集団に1000を超えるスライム達が迫ってきた。
改めて考えるとすごい数だな。
本当に大丈夫なのか?
イスカさんが戦うことを選んだ時に思ったのは、なぜという疑問だった?
さっき逃げるのは成功したから同じ方法で逃げた方がいいんじゃないか?
だが、イスカさんはそれでもここで殲滅するべきだと言った。
理由は砦内の戦いは飛行部隊が手を出しにくいから、そしてスライムの殲滅をしながら制空権を取られないようにすることができるからだそうだ。
スライムの殲滅はともかく制空権は砦の上に陣取ってないから無理じゃないか?
だが、イスカさんの説明を聞くうちにその意見が正しいと思い始めた。
スライムの殲滅と制空権を取る方法は特別なことではなくただ戦えばいいとのことだ。
その理由は敵スライムの動きだ。
イスカさんは敵の飛行部隊が、俺たちとスライムが上空に行っている間なにもしなかったのが不思議に感じ、いろいろ考えたところスライムは上空に浮かんでいる敵だけ倒すよう指示されているのではないかと推測した。
確かに今までの戦いで敵の飛行部隊とスライムが一緒に戦っているとこは見たことない。
それに地上の味方を攻撃することも無かった。
そもそもスライムに敵味方の違いか分かる頭脳を持っているとは考えにくい。
こうして考えてみればイスカさんが言ったことが正しく聞こえる。
スライムはだんだん俺たちに近づいてきているが、本陣から敵の飛行部隊が出る気配はない。
おそらく今出てしまえば、スライムが戻って来て自分たちに襲いかかってくるからだろう。
イスカさんの予想は当たったな。
後はスライムを倒すだけ、と言いたいが肝心のスライムが多すぎる問題については解決してない。
イスカさんは絶対に止まるなと、各自判断しながら最善を尽くすよう、としか言ってない。
まあ実際あの数のスライムと戦うことになったらそれぐらいしかできることは無いけど。
そしてついにスライムとの戦いが始まった。
最初は魔法を撃っていたがすぐに数に押され、時間稼ぎにもならない。
それからはスライムから距離を取って魔法を放つを繰り返すが、なかなか数が減らない。
もうすでに500体以上倒しているが減っている気がしない、いや、少しは減っているがそれでもまだ敵は1000体以上いる。
やっぱりスライムをすべて倒し切るのは無理なんじゃないか。
まだ味方は減っていないが、魔法を使い続けたせいで全員MP回復薬を飲んでいる。
だが、MP回復薬は数に限りがある、すべて使い切ったら遠距離戦は終わり近距離戦が始まる。
あの数相手に近距離戦は自殺行為だ、少しでも動きが鈍ればあっという間に袋叩きにされてしまう。
もっと攻撃の頻度を上げるか?でもこれ以上攻撃の頻度を上げてもMPの回復が追い付かない。
血は回復手段として優れているが、回復速度がMP回復薬より遅い欠点がある。
それから十分後、ついに味方のMPが無くなり近距離戦を始めた。
決して無理はせず、端から少しずつ削るように攻撃している。
スライムから反撃されることもあるが全員高速で飛び回ることによって回避している。
この様子なら大丈夫そうか?
だが徐々に敵から反撃を受ける回数が増えている。
原因は疲労とスライムの数、どちらも集中力を削り、スライムからの被弾が増えている。
このままだと犠牲者が出るかと思ったが、事態は意外な方向に進んだ。
スライムが撤退したのである。
一斉にスライムが向きを変え本陣へと戻って行った。
この行動に一同ホッとしたものの、一人慌てた者がいる。
「まずい、まだ本陣の攻略は終わってない!このままだと地上の味方は挟み撃ちになる!全員なんとしてでもスライムの注意を引くんだ」
イスカさんの声を聞き、飛行部隊は元の役目を思い出した。
地上の味方の援護が飛行部隊の役目、もしスライムが本陣へと戻ってしまえば役目が果たせなくなる。
飛行部隊は全員積極的に攻撃を行ない、注意を引こうとしたが、スライムはまったく反応しなかった。
何十体も同時に倒したり、スライムのすぐ側を飛んだり、スライムに罵声を浴びせたりといろいろな手段をとったがまったく反応がなかった。
すべて無視して本陣に向かって行く。
「君と君は先に行って味方にこの事を伝えてくれ!他は全力で妨害しろ!」
イスカさんは、足の速い魔物に乗っている飛行部隊にスライムの群れが止まらないことを地上の味方に伝えに行かせた。
その報告を聞いた地上は本陣の攻撃を一時中断し、本陣の防衛設備、建物、物資、城壁を出来る限り破壊し、本陣から退却した。
そして退却と同時にスライムの群れが到着し、本陣の中に入って行った。




