レベルアップ
「あの」
「・・・」
「あの」
「は、はい。何でしょうか?」
「えっとこれから俺ってどうなります」
「そうですね、ダンザさんから攻撃を仕掛けてきたので、罪になることはないと思います」
「ふーん」
やっぱり。正当防衛が成立したら大丈夫か。
「あの、先程は止められなくて申し訳ございません」
「いえ、別に怪我とかしてないので謝らなくても大丈夫ですよ。それに喧嘩とかは自己責任だったと思うのですが」
「確かに喧嘩はギルドの責任ではなく自己責任ですが、職員としてではなく大人としてです。あなたたちは、いくら強くてもまだ子供ですから」
確かにこの身長じゃあ子供に見えるか、精神年齢はとっくに成人越えているんだけどなぁ。
「いやいや、ホント気にしないでください。自分もちょっとEランク冒険者と戦ってみたいと思ったので」
モッブたちを瞬殺した時から、自分の強さを客観的に知りたいな~、って思っていた。
そしたらちょうどいいところにダンザがからんできてむしろラッキーって感じだ。
「もしかして、わざと煽ったんですか?」
「そ、そんなことないです」
「そうです、そうです」
なんか受付嬢の目が、心配そうな目から困った子を見るような目に変わった。
「・・・そうですか、あまり危ないことしないでくださいね」
「善処します」
「・・・はぁ、これからどうしますか、今から森に行くのはお勧めしませんが?」
「ミリアどうする、俺は森に行かないで平原でスライ狩ろうと思うんだけど」
まだ外は明るい。
吸血鬼は夜行性なので、夜に行動する方がスキルや装備的にはいい。
しかし、昼間に行動した方が何かと便利だ。
この大陸にはあまり吸血鬼がいないので、夜間は店が閉まっていることが多い。
「私もそう思います」
「そうか、それじゃあ平原に行ってきます」
「気を付けてくださいね」
「やっぱり弱いな」
スライムを狩はじめて1時間、俺とミリアを合わせて100匹以上のスライムを倒した。
「そうですね、でも数は多いです」
スライムは魔力があればどこでも生まれる。
街の中でも発生したことがある。
さらに、少し旅行に出かけている間に、家の中にスライムが湧いていたこともあるらしい。
おそらくこの世で一番数の多い魔物だ。
すこし平原を探せば、スライムが生まれる瞬間を見ることができる。
スライムは、魔力察知などで魔力がある程度集まっているところを見ていると、魔力が凝縮し魔石ができる。
そこから、少し待ったら魔石から液体が出てきてスライムになる。
魔力の量は、MPで言えば100強ほどだ。
その程度の魔力は空気中にいくらでも漂っているため、いくらでも湧いてくる。
「あれ、もしかして」
50メートル先に緑色のスライムを見つけた。
通常のスライムは水色で直径20センチほどだが、俺の見つけたのは直径30センチほどの大きさだ。
「ミリア、上位種っぽいの見つけた」
「ほんとですね、緑色で少し大きめですね」
「さっきの冒険者より強いといいけど」
俺たちは、上位種のスライム少し警戒しながら近づいた。
「鑑定」
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名前 なし
種族 レアスライム LV3
ステータス
HP 73/73
MP 13/13
SP(瞬発)36/40
SP(持久)40/42
攻撃値 31
防御値 38
魔力値 12
魔耐値 36
速度値 26
スキル
HP自動LV1、再生LV2、魔力察知LV2、周囲察知LV2、打耐性LV1、HP向上LV1
固有スキル
粘体LV2
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俺は、がっかりした。
そりゃあ、危機察知が反応しないから弱いと思っていたが、、Fランク冒険者より弱いとは知らなかった。
レアが付いているんだったらもっと強くてもいいのに、そう思いながらスライムの中の魔石をとった。
「はぁ、100匹中1匹が上位種か、俺と同じぐらいの強さになるのは何百匹に何体なんだろうな、いや何千かな」
そして、次のスライムを倒しに行こうと思った時、俺の体にちょっとした違和感を感じた。
「ん?何だ。さっきのスライムに何かされたか?鑑定」
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名前 レサレイン
種族 中位吸血鬼 LV2
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「おおっー、レベルが上がっている」
「おめでとうございます」
さっき感じた違和感はレベルが上がったことによって、ステータスが上がったからか。
ステータスは、平均10ほど上がった。
「レベルアップって凄いな。こんな簡単にステータスが上がるなんて」
今までステータスを平均10上げるのに、訓練だけで半年ほどかかった。
しかし今日、スライム100匹と上位種1匹倒すだけで半年の訓練と同じぐらいステータスが上がった。
「ミリア、今日はもう帰ろうか。早く寝て明日は森に行こう」
明日はゴブリンを狩りまくってもっとレベルを上げてやる。




