ゴードンさん暴走
この剣、ダンジョン産か?
そうゴードンさんに聞かれた時とっさに答えることはできなかった。
別に答えられないのではなく知らないのだ。
この剣は父上にもらった物で、どこで作られたなどの情報はない。
父上に聞けば分かるかもしれないが、家出中なのに会いに行けるわけない。
でも、恐らくこの剣はダンジョン産だと思う。
父上はもともとあまり武器を買うような人ではなかった。
そもそも家宝の大剣があれば他の武器はいらない。
だから武器を買ったりしなかった。
でもダンジョンに行った時、魔物からとったものや宝箱に入っていた物を手に入れたらそれらは売らずに飾っていた。
もちろんたいして価値の無い物は無視したり売ったりしていたと思うが、価値のあるもの、例えば今俺が持っている剣などだ。
「えーっと、多分ダンジョン産です」
「多分?」
「この剣はもらったものなんですけど、くれた人はダンジョンの武器をたくさん持っていたのでこの剣もそうかもしれないと思って」
「そうか・・・」
なんだ?ダンジョン産だったら何かダメだったのか?
「ゴードンさんはさっき難しい顔をしてましたけど、それはこの剣がダンジョン産であることが関係してるんですか?」
「・・・別にこの剣がダメというではない。鍛冶師としてはダンジョンがこんなの作って腹立たしいがそれとこれとは関係ない」
「じゃあ一体何が関係しているんですか?」
「・・・この剣はいい剣だ。だがいい剣だからこそやることが無い」
やることが無い?
「もしこの剣のスキルレベルがもっと低ければいろいろいじることができると思っていたが、これはダンジョン産だったら。いじる要素が残されていない」
そう言ってまたまた難しい顔に戻った。
・・・つまりダンジョン産はいじる要素が無くてやることが無いから難しい顔になっている、ということか?
「フンっ、これだからダンジョン産は気に食わん。ただ丁寧に形通り作られただけで遊び心がない。そのくせ性能に関しては一級品だ。そしてこれ以上付与できないように限界ギリギリの素材を使っている」
「えっと、つまりこの剣は問題なく使えるということですか?」
「・・・使えるか使えないかで言えば、十分使えるただいじれないだけだ」
別にいまのままで十分だから、わざわざいじらなくてもいいんだけどなあ。
もともとゴードンさんの鍛冶屋に行ったのも直ったから確かめるためだったし。
「そうだ、ドリルだ。ドリルをつけるぞ!」
突如ゴードンさんが変なこと言い出した。
ドリル?何故ドリル?
・・・ゴードンさん、もしかしてレントさんの武器を急いで作ったせいで正常な判断を下せないのか?
「いいです。遠慮します」
「遠慮するな!今ならその面白くない武器をすぐに作り替えれるぞ」
「いいです」
「分かった二又のドリルにしてやる。ダブルだぞダブル。ダブルドリルだぞ!」
「今日はありがとうございました。じゃあ」
本格的におかしくなり始めたのでゴードンさんの話を無視してゴードンさんの手から剣を取って逃げた。
あのままゴードンさんの話を聞いていたら頭がおかしくなりそうだ。
初めて会った時はまともそうな人だったのに。
・・・これも全部レントさんのせいだ。
後で何らかの形で返してもらおう。
ゴードンさんの鍛冶屋が見えなくなるまで走り、完全に逃げ切ったと確信してから足を止めた。
ここまでくれば逃げ切れただろう。
ところでなんでナファリアさんもついてきてるんだろう?
まああそこに残りたくない気持ちは分かるけど。
「なんかすいません。まさかゴードンさんがああなるとは思わなくて」
「別に~大丈夫よ~」
「あれ?ナファリアさんはゴードンさんに用事があったんじゃないですか?」
「違うよ~」
「え、じゃあ何で俺たちについてきたんですか?」
「それは~もちろん戦うためだよ~」
そう言ってナファリアさんが笑った。
「いったい誰と戦うつもりだったんですか」
答えは何となく予想がついている。
だが絶対ではない。
俺はその可能性に賭けたくて聞いたが、結果は予想通りのものだった。
「ん~」
そう言ってナファリアさんは俺を指さした。
ナファリアさんが指している場所から左右にずれても俺の方向を向けている。
やっぱり!
ナファリアさんが戦いたい相手は俺のことだったのか!
ヤバいヤバい、どうやったらこの事態を回避できる!?




