魔法の訓練③
その日俺は寝る前に魔力切れになりそうになるまで水魔法を使った。
ちなみに出てきた水はあらかじめ持ってきた空属性が付与されている鞄にいれといた。
家に帰ってから俺もセキナみたいな空属性のついたもの欲しいなとハマンさんに言ったらすぐにくれた。
いいのかなこれもらって絶対高いよね、それにこんなに簡単にもらちゃっていいのかな。
そんなことを考えながら俺は眠った。
次の日の朝、自分に鑑定をかけたがまだ水魔法のレべルは一のままだった。
「やっぱ簡単には上がらないよね」
その後、今日の分の剣の訓練が終わり魔法の訓練に入った。
今日もガレン兄様とレイチェル姉様はハマンさんと実戦訓練をしに行き、俺はセキナさんと水魔法のスキルレベルを伸ばす訓練をしようとしたとき、セキナさんがポケットからある杖を取り出した。
「レサレイン様、これを」
「この杖って何?」
セキナさんが取り出した杖は30センチぐらいの水色の杖だった。
「この杖は水魔法LV10が付与されています。魔法系スキルの一番手っ取り早いレべルの上げ方は、レベルの高い魔法を使うことです。昨日はまだ魔法に慣れてなかったので出せませんでしたが、レサレイン様なら使えるかと思います」
「え、いきななり使って大丈夫なの?」
「はい。昨日見てて思ったのですがレサレイン様の魔力操作のレベルが高いように思えたので」
確かに俺は赤ちゃんの時から鑑定を使いまくってたり、魔力を感じ取って動かしたりしたからか。
「それじゃあ、水魔法LV10の魔法使っても大丈夫?」
「いえそれはまだ少し早いかと」
「何で?」
「魔法系スキルは魔力操作と同じレベルまでしか使えません。いえ、使えますが魔力操作よりレベルが高い魔法系スキルを使えば、発動までに時間がかかりすぎたり、狙ったところに行かなかったり、最悪暴走して自爆することがあるので、おすすめできません」
身にあった魔法を使わないと暴走してしまうのか、俺の魔力操作のレベルは7だから、水魔法もレベル7までしか使えないってことか。
「それじゃあレベル7の魔法から使うよ」
「レサレイン様、いくら魔力操作のレベルが高くても使ったことのない魔法をいきなり使うのは少々危険です。なのでレベル2からはじめてください」
確かにいきなりレベルを上げてやるのは危険だな。
ちょっと焦りすぎたかな。
「そうだねレベル2からはじめるよ。ところで水魔法のレベル2の魔法って何?」
普通だったら魔法系スキルを使おうとすると、自然と頭の中に魔法名が浮かび上がるけど、先に知っておいた方がいいと思った。
「『水球』という名前で、名前の通り水の球を出してにぶつける魔法です」
そういいながらセキナさんは右手を地面に向けた。
すると氷でできた的のようなものできていた。
「え?今のどうやったの?」
「今のは氷魔法LV1の『氷生成』を使いました」
「へー、氷魔法だと自由に形を変えられるんだ」
「いえ、水魔法でも自由に変えられます。自分が作りたい形を意識したらできます」
自分で自由に形を変えれるんだ。
それにしても氷でできた的を見ると的が少し薄かったけど大丈夫かな。
それより今は集中しないと、杖に魔力を込めて杖のスキルを意識した。
「『水球』」
バシャ
と音を立てて地面に当たった。
的の手前に当たったようだ。
少し地面がくぼんで、そのくぼみに水が溜まっていた。
レベルを一つ上げただけでこんなに外れるなんて、最初っからレベル7の魔法を使わなくてよかった。
使ったら絶対暴発してしまうよな。
それにしても、
「結構外れちゃったな」
「いえ、はじめてでそこまでできる人はあまりいません。普通は水が出ただけで飛ばないことのほうが多いですから」
それじゃあ飛んだだけましってことか。
もっと練習しないとだめだな。
「『水球』」
今度は的に当たった。
だけども的は傷一つ付かなかった。
「あれ?今度は威力が低かったのかな?」
「いえ、通常通りの威力です」
だったら的が壊れてないとおかしい、氷の的の厚さは1センチもない。
さっき地面に当たった時は地面をくぼませる位の威力があったのに。
「じゃあ何で的が壊れないの?」
「あの氷に少し多めのMPを使ったので、その分だけ氷も固くなったのでしょう」
「だったら『水球』もMPを多く使えば使うほど強くなるの?」
「はい。しかしMPを多く使うには魔力放出のレベルを上げる必要があります。それとMPをただ多く使うだけではダメです。魔力操作を使い大きさ、速度、密度、射程などを操作する必要があります」
確かに魔力放出のスキルを上げないと体外に魔力を多く出せないのか。
そういえば魔法の訓練がはじまるまでMP消費の少ない鑑定でしか使ったことがないから魔力放出のレベルが低いのか。
それから俺は魔力を多めに使うことを意識して魔法の訓練を続けた。




