プラントスライム②
強化されたステータスで攻撃してみる。
今度は鱗の間に攻撃をとおすのではなく、真正面から攻撃した。
ガキッ
やっぱり鱗は硬いな、魔剣が少し欠けている。
でも、表面の鱗を破壊することはできた。
欠けた魔剣も付与されている再生スキルですぐに直せる。
鱗とかを再現するにはMPを使うから、このままHPとMPを削る。
もう一回切ろうと剣を構えたところ、万能察知が反応した。
!、切りかかろうとした場所から、触手が飛び出してきた。
しかもただの触手じゃない。
先端には何かの牙が生えており、そこらの剣よりも切れ味が鋭そうだ。
触手の数は3本で多くはないが、切り落とせそうにない。
斜め後ろに飛びのき触手を避ける。
触手は本体からあまり離れていない位置で止まった。
ちっ、もっと伸びていたら横から3本とも横から切り落とそうと思っていたのに。
こいつは深追いせず、あえて止まった。
深追いしたら切られると分かっている。
本当に厄介だ。
それにしても急に反撃が激しくなったな。
さっきまでは、ただの触手をなぎに薙ぎ払っただけの大雑把な攻撃しかしてこなかったのに。
もしかして鱗を壊して警戒されたのか?
ギルマスやドガルニさんといった火力が高い人たちへの攻撃は、俺と同じ様に触手に牙を生やして攻撃しているが、攻撃を受け流したり、避けたりしている盾役や斥候などの火力があまり高くない人たちには、ただの触手で大雑把に攻撃している。
人にって触手の数も違うから、相手によって攻撃方法を変えているのか?
だったらさっきよりも大ダメージを与えたらどうなるんだ?
俺はさっきと同じ様にプラントスライムに飛び掛かった。
プラントスライムから触手が飛び出るが、今度は前に回避した。
3本の内1本目は体をひねることで回避し、2本目は剣で軌道そらし、3本目は回避しきれず横腹をかすめた。
体から血が流れるが再生を使ってこれ以上血が流れないように治す。
すべての触手をさばき、プラントスライムに切りかかることができる位置まで接近することができた。
今度は鱗と鱗の間に剣を刺しこんだ。
最初の時よりもより深く突き刺さった。
そのまま魔剣の先に俺のMPを集めそれを氷雪魔法に変化させる。
MPを剣先に集めることは簡単だが、そこから魔法を撃つにはプラントスライムの体内で魔法を使わないといけない。
しかし、プラントスライムにはMP吸収のスキルを持っており、集めたMPが吸い取られる。
MPを吸い取られながら魔法を撃つのは難しくこのままだと時間がかかる。
時間がかかるとさっきさばいた触手が戻ってきて、背後から攻撃される。
ここは、一旦引くのが正解だ。
だけどそのことに納得していないものがいた。
それは吸血鬼の戦闘本能!
俺の冷静な頭の部分は今すぐ逃げろと叫んでいるが、本能がこのまま逃げるかせめて一発ぶちかますと怒鳴る。
結局声の大きい本能が勝利し、このまま大ダメージを与えるか、与えられるかのチキンレースになった。
けど、どうするMP吸収のせいで魔法を使うことができない。
ああーーー、ごり押しで行くしかない!
冷静な部分が悲鳴を上げているが無視だ無視、無視、無視、無視。
魔剣に必要以上のMPを注ぎ込み複数魔法を発動させる。
いくつかは不発で終わるがいくつかは発動するはず。
『氷雪球』
15個の魔法を同時に使ったが、そのうちうまくいったのは6個だった。
6個の魔法が体内で発動し、俺が剣を突き刺したところは凍り付いた。
後ろから迫ってきた触手も根元が凍り付いたため動きが止まっている。
うまくいかないと思っていたけど、プラントスライムにダメージを与え触手の攻撃も防ぐことができ思いのほか大成功だった。
やっぱり吸血鬼にはごり押しが合っている。
「いったん引け!今のうちに魔法で回復できなかった分を回復させろ!」
ギルマスがプラントスライムの一部が凍り動きが鈍ったことに気が付き一時前衛を撤退させるようだ。
「今だ!後衛は前衛が離れているうちに攻撃を叩き込め!」
撤退し前衛がプラントスライムから離れた瞬間、ゾルさんの合図と共に前からいろいろな魔法が飛んでいき、後ろを振り返ると光と爆発音、衝撃がやってくる。
眩しさから逃れるため前を見るとギルマスの鋭い目で見られたような気がする。
別に悪いことしているわけじゃないから堂々としていればいいか。
後衛が攻撃している最中俺は鞄から血を取り出しHPとかを回復させる。
ある程度回復できた俺は、あれほどの魔法をくらったプラントスライムはどうなっているのか気になり見てみると、ドガルニさんの火炎爆弾を耐えた形状になっていた。
あの形状になったプラントスライムを魔法で倒すのは難しそうだ。
後衛もそのことを分かっているのか威力より数に比重を置いて時間稼ぎを行っている。
そして後衛の時間稼ぎのおかげで前衛は回復することができた。
「魔法やめ、前衛は突撃!」
再び前衛が動き出した。




