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第63話 腰

『キノウハオタノシミデシタネ。』


ジーナの念話にエクサが目を覚ました。

シャーロットは先に起きていて風呂に入っているようだった。


『あーうん、そうだな、久々に楽しめたな。』


『子供できるんじゃない?』


『なな何を言ってるんだジーナ。そんなこと』


『浄化したばかりじゃない。』


エクサが顎に手を当てて考え込む。


『そうすると俺の子どもは転生者か?』


『わたしらの子どもも、そういうことになるわ。』


エクサが、ん?と考え込む。

しばらくして驚愕の表情を浮かべ、ジーナの肩を掴んだ。


『お、おい!』


『まだわからないけど、でもそんな気がするの。』


エクサがジーナを抱きしめた。


『そうかそうか。それはいいことだ!俺は嬉しいぞ!』


「あらあら、昨日私とあんなに情熱的だったのに、もう他のオンナに手を出しているのかしら?」


エクサはジーナに抱きつきながら、体を拭いている裸のシャーロットを見て、ジーナの頭を撫でてから立ち上がった。


「そういや、シャーロットにここにきた理由を聞いておいて、俺らがここにきた理由は言ってなかったな。」


「目当ては武器でしょ?」


昨日下見した時やベッドの上で武器を見にきたと言ったことはなく、シャーロットが簡単に言い当てたことにエクサは驚いた顔を隠しきれなかった。


「ふふふ、かわいいわね。また食べちゃおうかしら。」


シャーロットはしゃがんで口に含もうとするのを見ながら、エクサは続けた。


「ヴェノセルペンテスとブラークテスディスを倒せる武器が有れば落札したいんだが、心当たりはあるか?」


ふぁ?とシャーロットがしゃぶりつこうとして声を出した。


「なんでそんな魔獣を倒す必要があるの?」


エクサのを握ったまま立ち上がり、手を上下させながらシャーロットは尋ねる。


「エルヴスの街を救うためだ。」


シャーロットの手が止まる。

にわかに握っている手に力が入り、シャーロットの雰囲気がガラッと変わったようだった。

エクサの腰は引けており、握られた手を離そうとなんとかしようとしている。


「何であんなところを助けようとするの?私たちのことをまるでゴミのように扱ったところを!」


シャーロットは手を離し、両手でエクサの胸をドンと叩いた。

歯を食いしばっているシャーロットの顔は、昨日とは全くの別人であった。


「シャーロット、落ち着け。俺も好きじゃないさ。でも、そうじゃない。エルヴスには守らなきゃいけない奴らがいる。俺は守るべき奴らのために、万全の状態で臨みたい。」


エクサが優しくシャーロットを抱きしめ、頭を撫で額に唇を寄せる。

シャーロットもエクサの胸に置いた手を背中に回し、強くしがみつくように抱き返した。


「・・・どんな武器なの?」


小さく呟くようにエクサにシャーロットが尋ねる。


「希少金属で作られた武器だな。ここならあるだろう?昨日見たものは名前だけで何がどんな武器かまではわからなかった。」


「ええ、そうね。一覧の詳細は教えられないわ。そう言う決まりなの。情報を隠すことで落札するかしないかな緊張感を、金持ちたちは味わいたいのよ。でも数は少ないし値段も張るわよ?」


「構わない。ありがとう、十分だ。」


シャーロットは目を見開いた。

ありがとう、シャーロットがいくら男と何度も肌を重ねても言われることはなかった言葉だった。

シャーロットは目を瞑り、強くエクサを抱きしめてそのままベッドに押し倒す。


「まだ時間はあるの。楽しみましょう♡」


エルフたちはゆっくりと、快楽の海に溺れていった。


『ナンドモオタノシミノトコロデスガ、ハラガヘリマシタ。』


ジーナからの救難信号に、エクサはシャーロットの上で揺れながら呼び鈴を鳴らした。

昨日の夜と同じく扉の外にいるものに食事の用意を伝える。

配膳の係りのものが来る前に行為は終了し、シャーロットは風呂に入っている。

扉が叩かれ、昨日の配膳台と交換して、部屋の中央に食事を移動させた。

エクサは腰にぎりぎり隠せる布を巻いている。


『待たせたな。』


ジーナが食事にがっついているが、キリルの姿がないことに気がついた。


『キリルは?』


『部屋で伸びてる。』


ジーナの冷たい一言に、エクサは背筋が凍るような思いをし、キリルに同情して祈りを捧げた。


『ジーナさん、キリルの分も残しておいてください。』


『わかった。でも約束できない。』


それってわかってないような、とエクサは頭に浮かんだが触らぬ神に祟りなしと考え言及するのを辞めた。


シャーロットが風呂から上がり、ドレスを身につけると食事を一口つまみ扉の方に歩いていく。


「これから仕事に向かうわ。エクサ、今日の昼過ぎに武器の競売が始まると思うの。私は案内できないけど、競売会場の雰囲気を覚えておいて損はないわ。」


「わかった。今夜も来るか?」


「ふふ、気が向いたらね。」


扉に手をかけ、半分開けたところでシャーロットが振り返り、手をあげてエクサに曖昧な答えを残して出ていった。


『腰が、砕ける。』


『おう、キリル。男の宿命だ。諦めろ。』


獣の部屋から顔だけを出してキリルが力尽きた。

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