第62話 野性
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昇降機の目盛りが5階を示すとポンと音が鳴り、扉が自動で開いた。
「5階でございます。どうぞ足元にお気を付けください。」
荷運びが先に降りて、エクサたちが後に続く。
荷運びは脇目も振らず角部屋に向かって絨毯が敷かれ、間接照明が煌々と輝く廊下を歩いていく。
廊下の終わりには花瓶があり花がいけてあった。
荷運びが角部屋の扉の前に立ち止まりエクサの方に振り返った。
「お客様、こちらが本日お泊りいただくお部屋でございます。」
そう言って荷運びは扉を開き、エクサたちをどうぞと中にいざなう。
部屋の中に入ると、暗がりが一気に明るくなり、大理石のような表面がツルツルの床に、大きなベッドが1台ありベッドの下に絨毯が敷いてあるのが見える。
天井には硝子で装飾を散りばめた豪華な照明がはり付いている。
ここが1階であるならば外から中がすべて見えてしまうほど、大きな硝子張りの窓があり、都市を一望できる。
「これは、値段もすごかったが部屋もすごいな。景色もいい。家の光が星のようにキラキラしている。」
「ありがとうございます。当宿自慢の一室にございます。」
キリルとジーナは窓際に腰を下ろせるよう広く段差をとっている部分に乗り、外を見下ろした。
「従魔の部屋はあちらにございます。どうぞご利用ください。」
そう荷運びが言うとキリルとジーナは我先に部屋の方に走って行った。
「何かございましたらそちらの呼び鈴を鳴らしてください。共鳴する呼び鈴が下で鳴りますので。」
硝子出てきた呼び鈴をよく見ると魔法陣が刻み込まれている。
「鍵をお渡しします。それから、照明は照明で明暗を判断しますので。それでは失礼いたします。」
エクサが荷運びから鍵を受け取ると、ベッドの上に放り投げる。
部屋の扉が静かに閉まると、エクサは窓際の段差に腰を下ろし、外を無言で眺めた。
そのまま無言で立ち上がると、エクサは走ってベッドに飛び込んだ。
飛び込んだ衝撃で鍵があらぬ方向へと飛んでいく。
エクサはふかふかのベッドを堪能するかのように身をくねくねさせている。
しばらくベッドを堪能したエクサは、呼び鈴を鳴らした。
扉をコンコンたたく音がして、お呼びですかと外にいるものが声をかけてきた。
エクサは扉を開けて、食事を用意するように言い、外のものがお辞儀するのを見て扉をしめた。
エクサが扉を閉めて部屋の方に振り返ると、キリルたちがエクサの方を見て座っている。
『飯か?』
『食べられるときに食べておかないとな。それより、なんかキリル、すっきり、というよりげっそりしていないか?』
キリルの隣にジーナが仲良さそうに座っており、エクサの言葉を聞いたジーナがキリルに顔を摺り寄せた。
『・・・早速か。』
『部屋の中は獣にとって無用なものが多数おいてあったが、いつもと違ってなかなか良かったぞ。』
『はあ、子ども、できると良いな。ジーナ、あんまり搾り取るとキリルがいざって時に動けなくなるぞ。』
エクサが腕をだらんとさせて天を仰ぐ。
「俺にもなんかこう、ないのかよー。」
天に向かって情けない声を出した。
ちょうどその時コンコンと扉を叩く音がした。
扉を無警戒でエクサが開く。
「お食事の用意ができました。どちらに運びますか?」
先程の荷運びのエルフとは違い、女のフーマンが食事を運んできたようだ。
「ああ、中に適当に置いてくれ。適当につまむから。」
「かしこまりました。失礼します。」
給仕係の女が車輪のついた配膳台を中に押して運び込み、ベッドの前に置くとそそくさと部屋から出ていった。
『さあ、食べようぜ。これはお前らのだろ。そら、下に置いてやるからたあんとお食べ。』
エクサが配膳台に乗っている魔獣用の皿を下に置くと、キリルとジーナはがっついて食べ始めた。
エクサは蒸留酒の入った瓶を手に取るとクッと硝子でできた蓋を回し取り、ガラスのコップに注いでいく。
「くあああぁ、なんだこれメチャクチャ効くな。喉が熱いぜ。」
エクサが眉を吊り上げ口元を歪ませてまた酒をあおると、ベッドに尻餅をつくように座り込んだ。
「たまぁに飲むと良いんだよなー。」
キリルがエクサの持っているコップに興味を示したのか、近づいてきてはコップの中の液体をひと舐めする。
舐めた瞬間、キリルは総毛立ち一目散にジーナの後ろに隠れた。
『なにしてんだキリル。』
『よ、よくも、オエ。そんなまずオエ、ものを。』
『勝手に舐めるからそうなるんだ。』
半分以上食べ進めていた食事を止めて、キリルは皿と睨めっこするように伏せっている。
ちょうど食べ終わったジーナがキリルの皿の状況を見て、食べないならもらうわねと、がっつき始めた。
キリルは恨めしそうにエクサとジーナを見ている。
エクサは微笑みながら配膳台の上に乗っている魔獣が食べても良さそうな肉をキリルに食べさせ、蒸留酒の味から上書きさせて食事を再開させた。
『おい、こちらに用のあるやつが着いたようだぞ。どっちだかまだわからんな。』
『お早い到着で。暇なんだな。』
キリルの気配察知が競売会場の受付嬢の到来を告げた。
キリルたちに当てられたエクサは張り切って準備運動を始めた。
『獣用の部屋に待機する。』
『ああ、警戒よろしくな。またおっぱじめるなよ。』
ジーナが軽くエクサの掌を噛んで部屋を出ていった。
コンコンと扉を叩く音がする。
「どちらさまで。」
大きな声で扉の方にエクサが言うと、扉の奥から返事が返ってきた。
「競売会場でお会いしました。エルフの受付嬢です。シャーロットと申します。またお話ししたいと思い、こちらにお泊まりのことを伺いました。開けてくだいませんか?」
落ち着いた、扉の向こうでもわかる妖艶な声色で、声の主はエクサに尋ねた。
エクサは黙って扉を開けると、競売会場とは違い、ハイヒールを履いて胸元がバッサリあいたドレスを纏い、頬を紅潮させたシャーロットが立っていた。
「どうも。」
「中に入ってもよろしくて?」
「どうぞ。」
エクサが背中で扉を止めて、シャーロットを中に招き入れた。
シャーロットが艶やかに腰を振りながら部屋の奥へと歩いていく。
「こんな素晴らしいお部屋にお泊まりになっているのね。高名な方なのかしら。同じ種族として誇りに思うわ。」
そういうとシャーロットはエクサの頬に触れる。
触れた手にエクサが上から手を添えて、手にキスをした。
「あら、受付ではオカタイ殿方だと思ってたけど、意外と軟派なのね。」
ドレスが床に落ちる。
露わになった傷一つない白い肌、豊満で上向きの胸にくびれた腰、張りのあるお尻からすらりと伸びた長く細い足。
エクサはそんなシャーロットを前にしても腰に手を当てて悠然としている。
一歩、また一歩とシャーロットはエクサに近づいた。
「魅了は効かないぜ?」
息がかかるほどの距離まで顔が近づく。
「そうね、でも体は正直!みたいね♡」
シャーロットがエクサの股間を鷲掴みにし、優しく撫で回す。
一通り撫で回した後、上から順のエクサの服を少しずつ脱がしていく。
エクサの露わになった傷だらけの白い肌に、シャーロットは指で傷を優しくなぞり、唇を近づけ舌を這わせた。
シャーロットの顔が徐々に下がっていき、するりとズボンを脱がすと下着の上からまた優しく股間に触れる。
下に夢中になっているシャーロットの顔を両手で優しく包み込み、顔を上に持ち上げて、エクサは貪るように唇を奪った。
シャーロットがエクサに応えるように舌を絡ませて吸い付く。
ゆっくりと唇が離れる。
「情熱的じゃない。嫌いじゃないわ。」
シャーロットはしゃがみ込むと下着に手をかけ、ゆっくりと下に下ろしていく。
下着に引っかかり下を向いていたが、下着から離れ勢いよく上に持ち上がる。
愛おしそうにシャーロットは見つめ、顔を近づけ、キスをし、撫でる。
エクサはいきりたつ下半身と裏腹に、冷静にシャーロットに問いかけた。
「何が欲しい。目的は何だ。」
シャーロットは上目遣いに微笑んで、先を口に含んだ。
口の中で舌が暴れているのをエクサは敏感に感じ取った。
シャーロットが呼吸をするため一旦口を離す。
また優しく撫で回すと徐々に語り始めた。
「退屈なのよ。戦場を駆け回っていた時は、もうこんな仕事辞めてやるって一心だった。戦場から離れて、受付嬢をやることになって。今度は戦場での不安定で緊迫して、ギリギリの状態だったあの頃をもう一度感じたくなったの。戦場では味わえない緊張感をここで
味わいたい、競売の客を食って、出す側落とす側の金額を操作して、バレないようにまた誰がを抱き込んで。そんなことを続けてるの。エルフの寿命からしたら、このくらいのことほんの一瞬の出来事よ。それに、いくら中に出されても、妊娠しないし、中に出すのを許すと男ってすごく喜ぶのよね。そんな喜ぶ姿を見てるのか快感なの。私のこの手で全てを牛耳っているような、支配者の快感を感じられるの。あなたにわかるかしら。」
シャーロットが手を上下させながら立ち上がり、長い接吻を交わす。
エクサは豊満な胸の先端をつまみ、そして揉みほぐしていく。
「やけに饒舌だな。」
短いキスを交わす。
「やっぱり、退屈なのよ。汚らしい男の相手もしなければならない時もあるし、下手くそな男の時もある。女を演じなければならないのは、退屈でしんどいの。でもあなたはエルフ、私と同じ。知ってる?競売会場にエルフって参加すること滅多にないのよ?そんなエルフが希少生物を連れて目の前に来たら、絶対に逃したくないじゃない。」
「そうか、久々に楽しんでくれよ。」
シャーロットはうふふと微笑むと、またしゃがみ込んで全部を咥え込んだ。
裏から先端まで執拗に舌で攻めたてる。
流石のエクサもあまりの刺激に体がのけぞった。
シャーロットはおもむろに立ち上がり、エクサをベッドに押し倒す。
エクサの上に四つん這いに乗ったシャーロットは、立ち上がるものを片手で自分の股に当てがい、割れ目に徐々に押し込んでいく。
全て、収まった。
「いいのか?」
「いいのよ。いつもと同じ。何度も繰り返してきた。妊娠なんてしないもの。」
そういうとシャーロットは腰を振り出した。
情熱的な行為は何度も繰り返され、エクサは何度もシャーロットの中に流し込んだ。
横に疲れ果てたシャーロットがすうすうと寝息を立てている。
エクサはシャーロットの頭を撫でると、抱き寄せて惰眠を貪った。
イメージは洋画です。




