第46話 決行
約束の春が来た。
今日この決行の日まで、エクサがかき集めた肌着にマギローブとエレンが正気化の魔法陣を描いて準備を終え、浄化の魔法陣は神気の消費量をかなり抑えることに成功して持続時間を大幅に伸ばすことに成功した。
それでもすべてのフィルシズの浄化をするために時間が足りないことを考慮し、神気の帯びた像を浄化の魔法陣に1つにつき2体の像を備えることとした。
神気を帯びた像は、流木を含め7体あり、最大で3枚の魔法陣を描くことができる。
オム、マギローブがそれぞれ魔法陣を描き、エレンがマギローブの魔法陣を転写して3枚の魔法陣を作り上げた。
1人と2匹の魔法師は、それぞれ自身の描いた魔法陣に異変が起きた時の対処をするため近くに待機し、魔法陣防衛のための班を3班編成した。
オム班は、エクサ、キリル、ジーナ
マギローブ班は、コサック、ソフィア、マクシム、ヘルト
エレン班は、シビル、ミハイル、ウェラ
コサックでは防衛に不安とのことでヘルトがマギローブ組に入ることとなった。
「うふふ、ここは真面目な時よ。堪えるのよシビル。私は影から見守るアルトゥムカニスの女神よ。私の明日は輝いてるわ。ここを堪えたら、ここを超えたら。」
シビルがミハイルとジーナをチラチラ見ている。
シビルも魔法陣の解析、転写を行うことができたが、やる気と集中にムラがあるため魔法陣制作組からは除外されている。
『この重要局面でいつも通りなのは、シビルは大物さね。』
エレンが呆れを通り越して感心している。
「ようやく、俺の故郷が日の目を見るな。腕が鳴るぜ。」
「あまり力むなよ、エクサ。」
「ああ、ありがとよオムじいさん。」
「あの、流木は、持っていていいですか?」
コサックはどうしても流木を自身のもとに留めておきたくて皆に言ったが、皆は気にすることも否定することもなく、全員持つことを肯定した。
むしろ、コサックにお守りの代わりというように流木を持たせた。
「この中で一番、弱っちいからな。何か持ってないとこっちが不安だぜ。ヘルトのダンナも頼むぜ。コサックが浄化の鍵だ。」
「わかっている。この身に代えても守ってみせる。」
「浄化を始めたら何が起きるかわからん。穢れの特性上不浄の地から出られないから、魔法陣も不浄の地に置く必要がある。置く場所は中心が良いじゃろうな。浄化が進んで境界から収縮なんてことになれば、魔法陣は不浄の地の外に出てしまうしの。中心に1枚、中心から距離を取って2枚設置なら、中心から浄化が進んでも何とかなるじゃろう。これで異議のあるものはいるかな?」
「異議はない。あとは向こうの仲間がどれほどの仕事をしてくれるかだな。」
「期待しとけよ!なんせ姉さんがいるからな!」
「そうか、そうだな。スアヴィさんもいる。こういうとき知り合いがいると心にゆとりが持てるな。」
「さあ、さっさと境界に持っていこうぜ!この高性能フロアトがあれば3枚同時にも持てるんだぜ!」
「キリルとジーナはエクサのすべて設置が終わるまで、エクサのそばで護衛を頼むぞ。」
『任せておけ。いつものことだ。それにオム、あんたは単独で問題ないだろ。』
「ほっほっほっ、あまり頼りにするでない。老人にはもっといたわりが必要なんじゃ。」
エクサが先陣きって魔法陣を運んでいく。
コサックたちが境界につくと、すでに何体かのフィルシズが集まっていた。
「エグザ、づいにごのどぎがぎだのね。」
「ああ、姉さん。やっとだ。さて、こちらの作戦を説明するぜ。集まってくれ。」
エクサがフィルシズたちに魔法陣の位置などを説明していく。
一網打尽にするより先に我々の浄化を、ととなえるものもいたが、それだとまた次の浄化まで、転生した後何年たてば、何年待てば、次の手に移行できるかわからない、それに不浄の地はここだけではなく世界各地にあってここで足踏みすることはできない、今ここで一網打尽にしたいと説き伏せた。
フィルシズは渋々だが皆事態を飲み込み、自身がすべきことに向けて決意を新たにするように、不浄の地の自身の持ち場へと移動していった。
「よし、俺が中に入ったら作戦開始になるぜ。皆、よろしく頼んだぞ!」
「エグザ。」
「なんだ姉さん。」
「ぎをづげで。」
「ふふ。さあ、作戦開始だ!」




