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第44話 ツボ

「さて、あんな大見得をきったが、どうしたもんかのう。」


屋敷周囲の警戒のためミハイルとウェラは戻っていき、2匹以外はオムについて行くように地下へと入っていた。


「神気の消費量を抑え効率をより高くするためには・・・」


オムが唸っている。

オムの隣にいるマギローブとエレンも難しい顔をしていた。

シビルはそんな3つの顔を眺めニヤニヤしている。


「先生のそう言う顔見るとゾクゾクしますね。そこの規格外2匹も。天才や秀才でも悩むことはあるんだって、励みになります。」


「シビル君が言うと嫌味に聞こえるのは何故だろうかのう。」


「それはそうと、小型化のことなのですが・・・」


今度はシビルとオムが難しい顔をしている。


「その方針で進めてみてくれたまえ。」


「はあい、今日はもう働きすぎですから、明日にしましょう。」


「あーそうじゃな。んー肩がこるわい。ん、おっとすまんのエクサ。おーいいのう、もっと、もっと右を頼む。」


肩をぐるぐる回していたオムの背中に、エクサはツボを押すようにグリグリ指を押し付けている。


「案外、フーマンとエルフで秘孔の位置は変わらないんだな。ほれ、ここなんか、どうだ!」


「んおー、いいぞおお。効く効く効くー。ん、なんじゃもう終わりか?ん?こ、これは、長年苦しんだ肩の重みがなくなっとる!」


「シビルも、どうだ?体験するか?」


エクサが手で押す仕草をして、シビルに聞いた。


「私はこらないから遠慮するわ。寝不足に効くならいいけど。」


「じゃあここだ、な!」


エクサが立ち上がったシビルを、手首を掴むとツボを押しはじめた。


「んああ、んく・・・ああ・・・・うふうう、ん!」


シビルはエクサに両手首を揉まれながら悶えている。


「ふう、ふう・・・ふう・・・はあ!ああん!・・・あふぅ。」


シビルの息が徐々に荒くなってきた。

エクサは菩薩のような顔でシビルの顔とツボを交互に見ていた。


「ん、ん・・・ん!・・・ん!んあは・・・あむん。」


エクサの手の動きが止まり、シビルが唇を噛み締めてビクビクと体を痙攣させた。

オムは悟りを開くような面持ちで二人を見つめている。


エクサは手を離すと無言で地下室から出ていく。


「手首が性感帯なんてそんなのあるかぁぁぁ!」


遠くからエクサの魂の叫びが聞こえた。


シビルは恍惚の表情を浮かべ、椅子にどかっと倒れるように座り、目を揺らしながらここではないどこかを見つめている。

そのまま寝てしまいそうだ。


「さて、行くかの。」


地下室に入って来た時のように、オムのあとに続いて部屋を出た。


「エクサがなにか叫んでいたが、どうしたので、す・・・か?」


ヘルトはオムの悟りを開いたかの表情を見て、言葉を濁らせる。

オムはただ、ヘルトに微笑みかけるだけであった。

夕飯になり一同が食卓につく。

シビルが不機嫌そうにしていた。


「あのあとちゃんと寝られて寝不足がちゃんと解消しました。でも、うら若き乙女になんてことしてくれたんですか!エクサ!」


「いやあ、しらねーよ。若いかどうかもしらねーよ。何歳なんだよ。」


「19です!嫁入り前の娘にあんなことやこんなことをするなんて!破談になったどうしてくれるんですか!」


「色々ぶっ飛びすぎだろ。両手首のツボを押してただけだぞ。あと見かけによらず結構若いんだな。俺からしたら幼女もいいとこだ。」


「ああこれだからエルフは、すぐ容姿の話をする!私って結構グラマラスな体してるんですよこれでも、男はこれでイチコロです。」


「コロってない男がここと、ここと、そこに。」


「はあ、私の魅力に気がつかないなんて、オム先生には言いたくなかったですけど、みなさん愚鈍ですね。」


ヘルトとオムは、シビルの会話に入りたくないのか目を合わせないよう、表情のわからない顔で食事を淡々と進めている。


「コサックなら私の魅力、わかるわよねー。」


話を振られてしまったコサックだか、なんて答えて良いか分からず、シビルにただ微笑み返した。


「また、お姉さんと一緒にお着替えしようね☆」


コサックが、手に持っていた食器を落とし、音が食堂に響いた。


食後、祈りを捧げると、エクサが持ち帰った像や人形が流木同様、淡く光り始めた。


「これはもしかしたら、姿を想像するに容易いものの方が、祈りの強さが増して神気がたまりやすいのかもしれんな。」


神聖なものが増えたことにより、心に余裕が生まれたのか魔法陣の研究が進み、神気消費量を抑えられ流木での効果持続時間が2倍となった。

小型化の糸口はまだ見えていなかったが、浄化するには十分な成果といえる。


「春までもう少しじゃな。春になったら試してみよう。」

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