第37話 神託
にぎやかな食事が終わり、食器を片付け終わると、コサックが獣たちを集めて祈りを捧げ始めた。
エクサも祈りを捧げている。
(ほほう、感心じゃのう。)
「どれ、ワシも捧げるかな。」
「私も混ざろう。」
「私はこういうの苦手ですので、屋敷の外で待っていますね。陽光・月光諸君。」
「お主もやるんじゃよ。」
「嫌です。」
『坊やのために一緒に祈ってくれないか。』
「一緒?!やります♪」
「ソフィア、シビル君の扱いがうまくなってきているのは気のせいじゃろうか。」
全員が流木に向かい、思い思いに祈りを捧げた。
祈りが終わりそれぞれ寝るために部屋を探しに行こうとすると、流木が俄かに淡い光を放ち始めた。
声がどこからともなく響いてくる。
” ック、 サック、 こえるか?私 声が。”(コサック、コサック、キコエルカ?ワタシノコエガ。)
「っ!この声は!!クレイブ聞こえるぞ!」
”よかっ 。力が し戻っ 。いつも祈 ありがと 。”(ヨカッタ。チカラガスコシモドッタ。イツモイノリアリガトウ。)
”流木 願 を。”(リュウボクニネガイヲ。)
”魔 を 動 る だ。”(マホウジンヲハツドウサセルノダ。)
「クレイブ、よく聞こえないぞ!」
コサックが天に向かって叫んだが、返答は戻ってこなかった。
しかしながら、流木はまだ淡い光をその身に纏っていた。
『今のが、天地創造の神クレイブか。』
『まさか語り掛けてくるとは思わなかったさね。』
『坊や、体は大丈夫か?』
『うん、母さん、なんともないよ。』
「神聖なものは、信仰により神がもたらされるもの、かのう。恐らくじゃが、形がしっかりしていればしているほど、祈りを捧げるものが具体的に神を思い浮かべることができ、祈りの質も上がり力も多く戻るのではなかろうか。」
「オム先生、祈りの数も関係していると思いますよ。」
「そうじゃな。神聖なものがこんな形で目途がつくとはな。」
「そうか!じゃあ世界からかき集めて像を増やして、目の前にずらーっと並べて祈ろうぜ!」
「エクサが集めてこないとな。」
「おう、ヘルトのダンナ。腕がなるんだぜ。」
「女なのかしら?男なのかしら?私には女に聞こえました。女性の像があれば祈りはもっと力強くなるかと思います。あとアルトゥムカニスの像もお願いします。」
「ワシも女性の声のように聞こえたのう。」
「私には男性に聞こえました。」
『オス。』『メス。』『メス。』『・・・メス。』『おいキリル。』
「おいおいどっちを集めてくりゃいいんだ。」
クレイブの声色から性別について論争が起きようとしている。
「エクサ、どっちも持ってきて。クレイブはどちらでもいい、って言ってたから。祈りも、祈りたい方を祈ればいいよ。」
「わかった、これは実際に会ったことのあるコサックの意見を採用するぜ。はは、こんな感じで戦争が始まんのかね。」
「・・・案外そうかもしれんな。コサックの一言がなければ、戦争まではいかなくとも、喧嘩にはなっていたかもしれんな。」
『全くだな。我が息子のおかげだな。』
ヘルトとマクシムと頷きあった。
コサックが照れ臭そうにして頭をかいている。
ソフィアがコサックに、よくやった、というように顔を擦り寄せた。
「・・・あれは役得よ嫉妬なんかしちゃいけないんだから人族と月光魔狼の種族を超えた絆なんだからね私が立ち入らない世界なのわかっていても嫉妬の嵐が私もスリスリしてもらいたいあああ今度はマクシムまでスリスリし始めた見せつけてるのかしら何だか腹が立ってきたわ手頃なジーナでスリスリよおおおおおお!」
シビルの何かが爆発した。
ジーナは研究所での恐怖体験を思い出し、外に全速力でかけていった。
キリルもジーナの後に続く。
「待ちなさい!はっ、外に出るなんて、まさか!交尾ね!絶っっっ対逃さないんだから!」
ミハイルとウェラがシビルに対して更なる恐怖を憶えた。




