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第22話 授業

この世界には魔法のもととなる魔力が存在する。

どこにでも存在し、無味無臭で、そのもの自体は生物に悪影響を及ぼすことは無い。

生物は魔力を体に内包することができるが、その量は多少さまざまある。

どの生物においても、内包する魔力量が多いものほど、突出した能力を持ちその力を発揮することができる。

ただ魔力は生命力と深く関わっており、魔力を使うと、使った分だけ生命力から補填される。

だが先も説明したとおり魔力はどこにでも存在するので、外から魔力の供給が十分に確保できるため、少しくらいの魔力消費ならほぼ生命力から補填されることはない。

では、魔力を使いすぎるとどうなるか。

生命力から魔力へと供給量が多くなり、身体の各器官への生命力の供給が少なくなる。

そうなると身体の各器官は供給されない力を生命力以外から奪い取ろうとする。

身体の各器官が力の争奪戦を始めてしまう。

または細胞死を起こして供給量に対応できるようにするようなことも起こる。

魔力を使いすぎると倦怠感や疲労感、痛みが身体中に襲いかかるのはこれが理由とされている。

魔力を使い切って枯渇してしまうと、生命力から魔力への供給を強制的に止めようと働き、すべての生命力の供給を止めてしまう。

身体は活動するための力が得られない状態に陥り、各器官は争奪戦もやめて力の温存に注力するようになる。

結果、身体はもちろん、脳の働きも止まってしまう。

それはつまり昏倒を意味する。

ただ枯渇といっても瞬間的なもので、魔力はすぐに身体に取り込まれ生命力の供給がすぐに再開される。

肉眼では認識しにくい部分が損傷し疲弊しているため、昏倒からは立ち直っても身体が重くて全く動くことはできない。

戦場など生命の危機的状況下で魔力の枯渇はすなわち死を意味するといっても過言ではない。

不浄の地においてもそれは同じことが言える。


「魔力の枯渇には利点もあっての。身体の各器官が次の供給停止に備えて大きく成長するんじゃ。これを生命力と魔力の超回復と呼んでいてな、生命力と魔力量が大幅に上がるんじゃ。確か筋肉でも同じことが起きたな。」


オムがコサックたちに教鞭を執っている。


「オムジイサンノモトニアツマレ。」


不浄の地に向かおうとしていたコサックのもとにエクサから電報が届いた。

オムも電報を受けており、オムはコサックに対して皆で小屋に集まるよう電報を発していた。

屋敷全員がオムのもとに集まり、エクサが到着するまでの空き時間を利用して、オムがコサックたちに魔力について教えていた。

マギローブ以外気怠そうにオムの話を聞いている。


「生命力と魔力の関係はこのように切っても切れない関係じゃ。魔力を消費した時の説明をしたが、今度は生命力を消費した時は、どうなるかわかるかの?」


『生命力の方に魔力が流れ込むのでは?』


「ほっほっ、正解じゃな。」


「また魔力は使いようによっては全身を覆うこともできてな。魔力を纏う、と言っているが、全身を魔力で覆うことによって、たとえ致命傷のけがを負っても、魔力で損傷部位の再生ができれば命の危機にさらされることがなく、生命力の消費も少なくすむ。生命力と魔力量が多いものは、どんな攻撃を受けても死ににくいとされているな。」


「魔法を使うと魔法陣が展開するのはなんでてすか?」


「魔法を行使するとき、しっかりとその魔法を頭に思い浮かべるじゃろ。または詠唱な。魔力は魔法の事象に変換されるが、その変換が行われる際、魔力が結晶化するように集結して現れるんじゃ。目に見えるくらいにな。この結晶化した姿なんじゃが、羊皮紙などに模写して少し魔力を込めるだけで魔法として行使することもできるんじゃ。誰でも簡単に魔法が行使できる、そんな魔法陣は多方面で利用されておる。生活の一部じゃな。」


「魔力ってどこにも存在するって言ってましたけど、どこから発生するのですか?」


「具体的な解明はされていないが、多く発生するのは、生命が誕生するときと生命が終わるときじゃな。出産と同時に魔力が母体の外に多量に流れ出すんじゃ。死んだ者は内包していた魔力が死と同時に放出される。魔力量が途方もない竜などが死んだりすると、魔力が多量に放出されて死骸の周り一帯は高濃度の魔力のおかげで生物が大きく成長し、中には進化を遂げるものもいると言われておる。」


『なるほど、そういうことなのか。魔力を纏いながら攻撃するには・・・。』


マギローブの念話が漏れている。


「しかしコサックや。お主の仲間も名付けて成長したようだの。しかし、お主の魔力量でよくここまで成長させられたな。」


「マギローブの作った魔法陣で魔力を増幅して名づけを行いました。」


「・・・それは聞かなかったことにしておこう。戦争が始まって以来研究されてきたが誰も成功しえなかったことじゃ。その魔法陣さえあればどんな相手でもねじ伏せられるじゃろうて。・・・副作用はあったかの?」


「最初は魔力の暴走が起きましたけど、マギローブとエレンが魔法陣の修正に成功させたみたいです。」


「・・・規格外がすぎるの。」


「まったくです。はは。」


「そろそろエクサが着く頃じゃろう。迎えに行ってはくれんか?ワシはもうちょいこのウィセストリーギと魔力について話したい。」


『わたしの名前はマギローブだ。』


「ほいほい。コサック、よろしく頼む。」


「はい、わかりました。行ってきます。みんなはここで待っててね。」


「うむ、よいかねスト、マギローブ、エレンも聞いておれ。次は魔力を使った身体強化の・・・。」


オムの次の魔力の説明には魔狼たちも耳を傾けているようだった。

コサックが小屋の外の結界を出た。

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