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第20話 名付け

魔法陣ができた翌朝、早速コサックたちは外に出て名付けをする準備をした。


『それじゃあ始めるよ。』


コサックが敷いた羊皮紙の上に乗り、母親の雌と雄がコサックの前に座る。

魔法陣が光り、徐々にコサックが淡く光出す。

コサックは両手を雌の方に向けて名前を口にした。


「母さんの名前は、ソフィア!」


今度は雄に手を向ける。


「あなたの名前は、マクシム!」


母親の雌と雄に名付けをした。

特に2匹に変化は見られない。

コサックが不思議に思い、2匹のそばに近づこうと魔法陣を出た瞬間、鋭い痛みが全身を襲った。

あっがっ、と、言葉にならない声を出して、そのままコサックは気を失ってしまった。

慌てて2匹が駆け寄る。


『なんだ!どうしたと言うのだ!』


『大丈夫なのか!おい貴様、私の坊やに何をした!』


『大丈夫、何もしてないよ。命に別状はない。体はこのまま安静にしておけば良いよ。自身の魔力を使い切ったことと、吸収した魔力量が多すぎて体に負荷がかかったままの状態で魔法陣を出て、魔力が暴走してコサックを傷つけたようだね・・・。気がつかなかったとはいえ、研究不足だったね。』


珍しく魔猫がしおらしくしている姿を見て、母親の雌は少し冷静になったのか、倒れているコサックを屋敷まで運んだ。

母親の雌がコサックを屋敷に残っていたベッドに寝かすと、魔猫たちが後からゾロゾロと入ってくる。


『坊やの痛みを和らげる方法はないか?』


『・・・回復魔法かい。私は使えないよ。あんた、使えるのかい?』


『使えない。使えるようになりたい。どうすればいい?』


『ちょっと待ってな。』


魔猫が部屋から出て行く。

梟がコサックの耳元にとまった。

心配そうな、後悔しているような目でコサックを見つめている。


『こうなるとは・・・。すまないコサック、このような結果を予期できなかった。わたしは・・・』


『大丈夫だよ。初めて解析、転写した魔法陣を使って、途中までは成功してたよ。魔力がこんなになるなんて知らなかった。だからそんな悲しそうな顔で見ないで。それと、名前、見てくれない?』


梟が驚いて羽を広げた。

コサックの意識は戻っていたが、体を動かせないでいるようだった。

梟はコサックに言われたとおり、2匹を順番に見て行く。


種族  (上位)魔狼(???)

種族名  アルトゥムカニス(マジョア)

名前  (ソフィア)

性別   雌

魔力   小 (大)

魔法特性 木 (月)

備考   名前を受け入れていないため成長、()内強化が止まっています



種族  (上位)魔狼(???)

種族名  アルトゥムカニス(マジョア)

名前  (マクシム)

性別   雄

魔力   小(大)

魔法特性 風 (雷) (太陽)

備考   名前を受け入れていないため成長、()内強化が止まっています


梟が見た内容を全員に伝えた。


『母さん、名前ダメかな。』


『だめじゃない。名づけをしてくれてありがとう、坊や。少し驚いただけ。』


母親の雌が寝ているコサックの顔に自身の顔を擦り付ける。

すると突然母親の雌の体が光り始めた。

目を開けていられないほどの輝きで、屋敷の屋敷全体が光に照らされたようになる。

やがて光は落ち着き、魔狼たちと梟は恐る恐る目を開けた。

目の前に見慣れない毛色の狼がそこにはいた。

とてもやさしい目をしている狼はコサックを見る。

狼は目を瞑り、額のあたりに魔法陣が展開する。

闇夜を照らす月の光のように、やさしい光がコサックを包み込むように照らす。

光が消えるとコサックが起き上がり、手足を確認するように見た。


『これは一体・・・。痛みが引いているどころがなんだか軽快に動く。母さん、何を?』


『わからない。無事だとわかって安心して、すべてが受け入れられると思ったら変わっていた。今のも、できると思った。なぜだかわからないけど。』


輝く月の色のような毛並みをした狼が話した。

すると今度は雄の魔狼が光始めた。

雌同様やさしい光が周りを包み込みこんで、しばらくして落ち着くと今度は太陽の輝きような毛並みの狼が現れた。


『お前の無事がわかり、母親が変化を遂げて、安心したというか決心したというか、受け入れた心持になったら変化が始まった。今まで以上に力を感じる。』


梟が変化した狼たちを真実の目の改めて見た。


種族   月光魔狼

種族名  アルトゥムカニスマジョア

名前   ソフィア

性別   雌

魔力   大

魔法特性 木 月

備考   名づけ:コサック


種族   陽光魔狼

種族名  アルトゥムカニスマジョア

名前   マクシム

性別   雄

魔力   大

魔法特性 風 雷 太陽

備考   名づけ:コサック


『変化を遂げている。進化、といっても良いな。名を冠するということはこういうことなのか・・・。』


梟が感嘆して言葉を詰まらせる。


『こうしてはおれん。先の魔法陣を修正してもう一度描く。魔猫よ、手伝え。』


梟が興奮して魔猫に詰め寄る。


『わ、わかったよ。いくよ、羊皮紙はまだあるはずさね。しかしいいものを見させてもらったよ。これは面白そうだね、私も混ぜてもらおうかしら。』


『いいから早く。』


梟が魔猫を突っつきながら急かす。

痛がりながら魔猫は梟を伴って屋敷の奥に姿を消した。


『名前は魔法、か。よく言ったもんだな。』


コサックは変化した2匹をみてまだ現実に起こったことではないような目をしていた。

魔狼の上位種、月光魔狼ソフィアと陽光魔狼マクシムが誕生した。

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