第12話 離乳食
コサックの歯が揃いはじめ、発音も、まーまー、や、やーだー、など簡単に発音ならできるようになっていた。
二足歩行もできるようになった。
とはいえまだ赤ん坊の体、脳以外まだまだ未発達なところが多い。
今日はとってきた獲物を食べてみる決心をしていた。
夕方、雄と子供たちが帰ってくる。
咥えているのは兎のような獣だった。
雌たちが先に食べ始めた。
コサックは徐に雌の食べている獲物に近づく。
何をする気だと魔狼たちを梟が集まってきた。
コサックは生肉に噛り付いてみた。
(味覚は酸味と苦みには敏感なはずだが、それらは感じないな。塩味が少しあるくらいで不思議と体は受け入れている。生暖かい感触が少し嫌かな。)
雌と子供たちが目を丸くする。
雌はコサックの口の周りについた血をべろべろと舐めた。
コサックは三口ほど食べて疲れてしまった。
雌の母乳を飲み満足して籠に戻る。
流木を握りしめ今日の祈りを捧げようとしたところで、梟がコサックのもとにやってきた。
『何をしている。』
『神に、祈ろうと、思って。』
『何を祈る?』
『今日したこと、とか。』
『祈りじゃなくて報告だな。』
『そうかも。』
『それでいいなら私も祈ろうか。』
『一緒に祈ろう。』
コサックと梟は目を閉じ流木に祈った。
目を開け、流木をしまう。
『おやすみ。』
コサックは梟に言って眠った。
次の日、腹を下すことなくコサックは目覚めた。
(あれくらいなら食べても大丈夫なようだ。)
魔狼の母乳を飲んでいたコサックが、魔狼と同じ消化酵素や細菌を体に取り込み共生することが可能となったため、生肉を食べても食あたりを起こすことがなかった。
この日から、コサックは生肉を少しずつ食べるようにしていった。
クレイブへの祈りも、梟に続いて魔狼たちも参加するようになった。
比較的穏やかな獣が多く存在するこの森に腰を据え、活動することを魔狼たちは決めた。
クレイブはこの状況をにこやかに見ていた。
そして3年の月日が流れた。




