第97話 夜
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蒸し暑い夜、今まで姿を見せなかったラベリーが書斎にやってきた。
かなりの薄着で、体の曲線はもちろん、胸の大きさ形、薄いピンク色という色までわかるほど。
コサックは戸惑った。
「ラベリー!なんで。」
「べ、別に大した事ないんだからな。だけど、10年前の、命をかけてエルフのみんなを、孤児のみんなの笑顔を守ったあの姿は、何よりも強烈で鮮烈に残ってる。えっと、なんだ。すごく、カッコよく見えたんだ!それからずっと、気になって。バーリさんに相談したら、襲っちゃえって。シャーロットさんも、力尽くでも奪ってこいって。だから、来た。襲いに。」
(っておおおおい、バーリさんシャーロットさん、ラベリーに何言ってんの!)
だが心とは裏腹に出た言葉はこれだった。
「いいのか?ラベリー。」
「うん。いいよ。」
ラベリーがベッドに潜り込んでくる。
「えへへ、隣、いい?」
(ええい、据え膳食わぬはなんとやら!)
コサックが向こうを向いて横に寝ているラベリーの肩に触れる。
ビクッとして体をこわばらせた。
少し震えている。
コサックは触れた肩からそのまま手へと移動させ、手を握る。
ラベリーも握り返し、仰向けになった。
ちょうどコサックが腕枕をする形になり、ラベリーは仰向けからコサックの胸へと顔を埋める。
ラベリーは空いている手でコサックの胸や顔などをなぞる。
いつの間にか震えもおさまっていた。
額をコツンと当てて、ゆっくりと唇を重ねる。
軽く、少しだけ、付けては離し、離してはつけるを繰り返し、だんだんくっつく時間が長くなり、固く閉めた唇が柔らかく開いていく。
次の長いキスの中、舌を入れ、絡めた。
後戻りという言葉は抱き合う彼らの中から消え去り、快楽と愛情に両者とも溺れていく。
コサックがキスをしながら、手を握りながら、ラベリーの上になり肌を合わせる。
腕枕をやめ、両手の指を絡ませて握る。
ラベリーはゆっくりと膝を開き外側へと向けた。
手を繋ぐのをやめる。
ラベリーはコサックの首に手を回し、体を引き寄せ、いいよ、と耳元で囁いた。
コサックはどこよりも湿り気のある場所にあてがい、先端を湿り気のある場所に擦り付けると、ラベリーの体が反応する。
徐々に入り口を広げ、先端を埋めていき、ようやくといったいいほど長い時間をかけて、首のところまで入れた。
荒い息遣いをしているラベリーを気遣い、コサックはそこで一度入れるのを止めた。
するとラベリーがコサックの顔を両手で掴み、無理矢理キスをする。
舌を絡ませる濃厚なキスをしながら、もっと入れるようねだるように腰をくねらせる。
コサックはラベリーの手に自分の手を添えて、舌を絡ませると同時に深く、深く入れていく。
たまらず口を離してラベリーがコサックに抱きついた。
その衝撃で、コサックのモノは全て、ラベリーの中へと入った。
「全部、入ったよ。」
「良かった。もう少し、このまま。」
涙目で抱きつくラベリーをコサックは愛おしく思い、抱き返して優しく頭を撫でる。
少し余裕が出てきたのか、ラベリーがコサックの肩を甘噛みした。
「動くよ。」
コサックの言葉に無言で頷くラベリー。
ゆっくりだが、引き抜く手前で止めて、深く差し込む。
声を出したくないのか、ラベリーは抱きつきながらも自分の指で口を押さえている。
動くたび、結合部分から水を含んだ音が聞こえるようになった。
徐々に出し入れする速度を上げ、深く突き刺さる衝撃でラベリーの体が動く。
漏れる吐息と甘く小さな声がラベリーの口から発せられ、コサックは興奮し、もっと感じてほしいと、強く早く突き刺す。
ラベリーがキスをせがむ。
両者とも、絶頂が近かったが、構わず動き続けた。
コサックの腰の動きが緩くなる。
ラベリーは足をコサックに巻きつけ、離れないように抱きついた。
同時に、絶頂を迎えた。
荒い息遣いのラベリーの額にキスをして、優しく頭を撫でる。
繋がったまま、コサックとラベリーは疲れきり、眠ってしまった。
朝になると、先にラベリーが起きていたのか、ベッドの中、コサックの胸元でもぞもぞ動いている。
「裸だから、恥ずかしい。」
ラベリーを抱き寄せ、微笑み合う。
すると部屋の扉がガチャリと開いた。
「コサック、いるかい?今日はあたしの、ば、ん。ん?」
布団から少し顔を出してエレンと目が合うラベリー。
コサックは言葉に詰まり、あ、あ、と取り繕うように手を右往左往させる。
「小娘、ちょっとこい。」
布団で裸を隠しながらも、部屋の隅で話し合うエレンとラベリー。
どうやら交代の話をしているようだった。
同じ男を愛する者同士で通ずるものがあるようだ。
独り占めをしようとする者は、ここにはいなかった。
いなかったのだ。
「コサック。今日あたしとはいつも通りにさせてもらうよ。これからラベリーの番を作るからね。」
「わかった。とりあえず私はバーリさんのところに行って報告してくる。またね、コサック♡」
(報告?なにそれ。しなくていいからあああ!え?交代のことも報告する?あ、死んだ?)
エレンがコサックの今の気持ちなど知って知らぬふりをする様に抱きついて、唇を奪いことを始め、ラベリーは飛び上がりそうなほど、否そのまま飛んでいきそうなほどの軽い足取りで、部屋から出て行った。
ラベリーと一緒につけたシーツのシミは、点々と赤色がついていた。
稽古の後、エレンとのことの合間、コサックは神気について考える。
「にぃにぃ、なにしてるの?」
シャリスが話しかけてきた。
「体から出てる魔力みたいなのをなくす練習だよ。少し難しいかな。」
「それならシャリスできう。魔力とね、せーめーりょくをね。混ぜるの。そうすると魔力なくなるよ。」
シャリスが実演を交えて説明した。
確かに、魔力を完全に消す前と消した後で、存在感というか、シャリスがここにいる感覚が、魔力を消すと全く無くなってしまう。
なるほどと思うと同時にコサックは戦慄した。
(シャリス、もしかして天才魔法師になる?)
「シャリスは将来すごい魔法師になるよ。」
「まほーしー?ううん、シャリスはね、コサックにぃにぃのお嫁ちゃんになるから、そのまほーし?にはならないの。」
シャリスは全くぶれなかった。




