表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/24

謁見




「随分とウィルトス様のことを解っている弟さんですね、」


「あぁ、僕には勿体ない、よく出来た弟だよ。」


「兄弟で解り合える…素敵ですね」


「そぅだねぇ、貴族、それも侯爵家なのにうちでは権力争いや後継者争いは起きなかったね。


今も起きてないしね。


父上も早々に引退して余生を母上と楽しく暮らすとか言ってあっという間に僕に侯爵家を任せて隠居してしまったからねぇ


うちでは むしろ誰がなるか、私は嫌、私も嫌 っと押し付けあいの様になって結局僕に収まったんだ


珍しいよね、」


「えぇ、とても珍しいですね、

でも素敵な御家族なのですね、羨ましですわ


私の兄弟姉妹は 権力欲の強いおバカなお兄様と 我儘で落ち着きの無いお姉様、爵位の無い者をバカにするしか脳のない妹、そしてまだ一歳で殆ど会ったことの無い弟、


そして自分の子供を道具、いえ、自分の駒としか思っていない父に、自分と宝飾品にしか興味のない母、


兄や妹達がああなるのも無理は無いですね、」


「そんな環境でよく君が育ったね…」


「それは……。そうですね、自分でもそう思いますわ。」


それは前世の記憶があるからですーー、出かけた言葉を飲み込んだ。


いつか、必要があれば、もし聞かれたら言えばいい、


今は王城の中ですしね、そうです、今度でいいのです、ふぅ、


「……、そろそろ大きな廊下に出るからね、そうすると貴族が多くいる、あまり気にしないでね、不快な思いをさせてしまったら済まない」


………?


先程も似たような事を仰っていましたね…


どういうことでしょうか?


私のドレスでしょうか?


ウェルトスさんは気付かれましたが、ある程度見識が無ければ分からないでしょうし…


まぁ、不快な思いをするくらい、なんとも無いですわね、


「お気になさらず、これでも王族ですよ?」


「そうだったね、そう言ってもらえると助かるよ、」


そう仰るウィルトス様に微笑みを返す。


たしかに貴族らしい人達が増えて来ましまね、


どの方もこちらを見て驚かれたり近くの方とお話なさったりしていますが…


小声のつもりでしょうが聞こえていますよ、


えぇと、



ウィンクルム侯爵が遂に?!


あの御相手はいったいどこの…


初めてお目にかかるご令嬢だな


どこの家の娘でしょうか?


同じ侯爵家からの縁談も断ったと


どれほどの方なのだろうな




と。


ウィルトス様が気に為さっていたのはこの事だったのですね、


たしかに注目の的、好奇の目に晒されていますからね、


ですがこらくらいの事、生暖かいそよ風のようなものです、


アウストラリスに居た時と変わりませんね


ウィルトス様がしばらく進んだ先の扉をノックする、


「ここが侍従長のいる執務室だ、ここで陛下への謁見を申し込むんだ、」


「ここが…」


扉に向かって何やら話をしている、と、扉が開き中へ招かれる


「一緒に来てくれ、」


「はい、」


といっても、私は一緒に居るだけで特にすることは無いようですね、


私も疲れているのでしょうか?


ウィルトス様と侍従長さん?と思わる方の会話が全く聞き取れません、


ふぅ、やはり疲れているようですね…


今日はぐっすりと眠れそうですね、



「フィーリア、お待たせ。直ぐに謁見出来るそうだよ」


私がぼぅっとしている間に確認まで終わっていたようです、


「わかりました、」


そのまま部屋を出るウィルトス様について行くとそこそこ大きな扉の前で先程の侍従長さんが待っていました…


どういうことでしょうか…?私達が先程の執務室を出る時に見送って頂いたはずなのですが…?


「フィーリア、気持ちは分かる、だがそれが出来るのが侍従長なんだ。深く考えてはいけないよ、」


「そ、そうなのですね……」


アウストラリスの侍従長と同じだと考えるのはいけないのかもしれませんね、


国によってそれぞれの文化が…


いえ、やはり納得ができる答えは見つかりませんね、


ですが素晴らしい技術ですね。


「それではご入室頂きますね」


通された部屋は会議室らしい部屋でした、


その部屋の中央にある大きな楕円形の机、そして机に沿って輪になるように並べられた椅子。


部屋の一番奥の椅子に国王と思われる壮年の男性が座り、その後ろの両側ににそれぞれ宰相と思われる片眼鏡の似合う男性とよく鍛えられているのが分かる覇気を纏った騎士団長と思われる男性が立っている、


ウィルトス様にエスコートされて部屋に入ると


国王と思われる男性の眉が少し動いた、


それも一瞬のことで、直ぐに平静を装おっているようですが…


気持ちはわかります、


仮に私が頼んだのだとしても、国王の前で一貴族でしかないウィルトス様が他国の王女をエスコートするのは出過ぎた真似ですし、


そしてその女性が王太子殿下の側室であるとしたら…


婚約者、婚姻関係を意味する公式の場でのエスコート、


つまり、今の状況は父親の前で息子の側室との関係を匂わせている……という事になりますね、


とんでもなく無礼な行いで、処罰を受けて当然の行いなのです、


眉を寄せるのも無理はありません、あまりにも大胆で無礼な行いです。私でもそうするでしょう、



まずは御挨拶からですね、


「リビティウム王国国王陛下、本日は急な謁見を受けて頂き、誠にありがとうございます。


アウストラリス王国第二王女、フィーリア・レーナ・アウストラリスでございます。


そして、この度、王太子殿下からウィルトス・ウィンクルム侯爵に下賜されまして、


リビティウム王国侯爵ウィルトス・ウィンクルム様の婚約者となりました。


以後お見知りおきを。国王陛下。」



もちろん、ただの御挨拶で済ませる訳はありませんよ、?


ウィルトス様の差し金であり、もう済んだことですが……


ご子息にはお世話になりましたからね、


事の顛末はしっかりとお伝え致しましょう。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ