国王陛下の元へ
「さて、それではどう致しましょう?」
「急いだ方が良いだろうからね、このまま陛下へ急ぎ謁見を申し込むよ」
「私は…?」
「もちろん、君も一緒だ。そもそも君は大国アウストラリスの王族なんだし、陛下の中では王太子殿下の側室なんだからね。
アウストラリス王国の王女であり、王太子殿下の側室へのお目通りの提案と僕の婚約者の紹介、として謁見を申し込めばきっと直ぐに通るだろうからね」
「わかりましたわ、直ぐに支度を…と言いたいところですが…着の身着のままですからね、どう致しましょうか?」
「う〜ん、僕は特に気になるところは無いけど…気になるなら誰か呼ぼうか? と言いたいところだけどこの城の者になってしまうからな……」
「そうですね……では、姿見、いえ手鏡でも良いので鏡はあるでしょうか?」
「あぁ、隣の部屋に大きな姿見があったはずだよ。」
「私が行っても問題ないでしょうか?」
「あぁ、大丈夫だよ。今はこの区画は王太子殿下の名前で立ち入り禁止になっているからね。他の人間に会うことは無いはずだよ、」
「そうですか、それなら安心ですね、」
「それと、先程出してもらった毒や武器でまたしまえる物があったら身に付けておいてもらいたいんだ。」
「……よろしいのでしょうか?これから陛下への謁見なのですよね?」
「あぁ、そうだよ。
だけど君が出さなかったら気づかなかっただろうからね。
どこで謁見なさるかは分からないが腰の剣を預けるだけだから気付かれることも無い、それに少しでも君の安全の為にナイフなんかは持っていて貰いたい。
情けないようだけど、僕が付いていても万が一はいつ起こるか分からないからね、
でも出来れば自分自身に毒は使わないで欲しいかな、
もちろん、そうならないようにはするけどね。」
「ふふっ、わかりました、」
たしかに謁見と言えど女性の髪飾りや装飾品を全て取り上げるなんて有り得ませんからね。
まぁそれを逆手にとってドレスにまで仕込んでいた私が言えたものでは無いのでしょうが、ね。
父上はきっと気付いていたでしょうね…それなのに放っておいていたなんて、今思えば随分と豪胆だったのですねぇ
王族同士だからといって気は抜けないですからね…
娘と言えどもう少し警戒をしていても良かったはずですね、
いえ、私が知らないだけで父上はきっと、それこそ竜にでも噛まれない限り平気ななにかを身に付けているのでしょうね。
まぁ、私も警戒を〜なんて人に言える立場ではありませんがね…
さて、ある程度元に戻せたでしょうか?
これから利用するつもりでしょう私を害するとは思えませんが…
これくらいあればどうにかなるでしょう。
「戻せたみたいだね、隣の部屋に案内するよ、」
「ありがとうございます、」
特に崩れているところは無さそうですね…
まぁ椅子に座った状態で縛られて箱に入れられてきたのですからね…
捕まった時も暴れる暇もありませんでしたし。
それが返って良い結果になりましたね、
少し髪を整えれば大丈夫ですね。
「君は自分でも直せるんだね、前に舞踏会でみた貴族令嬢は…まぁ言わぬが花、だね。」
「えぇ、そうでしょうね。
私も侍女にも任せますが…ほかの方は自分ではなさらないようですしね、楽しいのに勿体ないですね」
「そうか、今度僕にも教えておくれ」
「えぇ喜んで、ふふっ」
「出来たようだね、それじゃあ行こうか、僕の婚約者様。」
「あら、エスコートしてくださるので?」
「あぁ、しっかりと見せつけておかないとね、
君に余計な虫が寄り付いては困る。」
「まぁ、ではよろしくお願いしますね、未来の旦那様。」
「っ……、あぁ、任せてくれ。」