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第4話 【反撃への“狼煙(のろし)”と“暗躍者達”】

鎮まり返った広場に2人の足音が反響する。

『遅かったですね。 こちらは貴方の帰りを待ちわびていたんですよ。』

『悪かった、色々立て込んでしまって遅くなった。』

『なら 構いませんけど。』

『お、おう。』

ガンマの言葉にシドは少し戸惑っていた。

『シドさん、いつの間に帰還していたんですね。 それにしては情報量が少ないですね?』

『いや、それ以上に重要な情報が入った。』

『重要な情報?』

『嗚呼 俺達が追っている“彼奴ら”の情報も貰ってきた。 しかも、“彼奴ら”は今回の件に深く介入している。』

シドの言葉にアーサーとガンマは黙り込んでしまった。


「あの…水を差す様ですが、シドさんがおっしゃる“彼奴ら”って一体何者なんですか?」


『お前等にはまだ話していなかったな。俺達が今追っている奴等がいる。 その組織の名は“フロイト”、危険な思想を持つ闇組織だ。』

『彼奴らは数十年前から世界の“再生”を最終目的に各地で暴れている。そこの幹部は皆 強者で熟練の冒険者でも軽くあしらってしまう程だ。』


「なんでそんなのがこの件に介入している理由ってなんですか?」

『アキラ君 いい所をつくね。 でも、その疑問の答えは後々分かるはずだ。』

「どういう事ですか?」

『じゃあ、その答えを探しに行こうか。 ちょっとの間、新入り達とルト借りてくぞ!』

『…っちょっと待ってください!』

シェロトイは混乱しているルトの肩を優しく持つ。

『ルト 頑張って来い。 その間、討伐関連の受付は俺がやっておく。 安心しろ。』

『そうか、それなら安心出来るな。…って安心出来るか!』

『…ぐっ、なんで俺に鉄拳が来たんだ?』

『それはお前自身がよく分かっているはずだぞ。』

ルトはシェロトイに軽めの鉄拳制裁をして、

肩にかけてられていた手を素早く払いのけた。


「いつ 出発するんですか?」

『そりゃあ、今からに決まっているだろう? 』

「「「『はぁーーー!?』」」」


何故かリオ達はシドの強制連行により、

“フロイト”の後を追う形で緊急依頼が入った

カルバ地区へと向かう事になった。


一方その頃 カルバ近郊の街 ラッファルドでは、

街中の建物のほとんどが全壊し 怪我をしている住民達が安全地帯を探しに街の外へ出られる道を模索していた。

そんな住民達の様子を黒コートの人物が郊外の高台から見物していた。

中性的な見た目の人物が一人嬉しそうに望遠鏡をのぞいている。

『…人ってこんなにも愚かなんだね。見ていて結構楽しいし、見飽きないよ! ねぇ?フォルヴェさんもそう思いません?』

中性的な見た目の人物からフォルヴェと呼ばれた男は

深いため息をつきながらその人物に目を合わせる。

『いや、俺はこういうの面倒臭いからやりたくないな。キラ、お前 意外とこういうのするんだな。』

『だってー、今回はオーナーからの依頼なんだよ!』

『あのオーナーが俺達にねぇ…。』


『まぁ、あと少しで俺が探している“アイツ”に会えるらしいから楽しみだ。』

『へぇー、珍しいですね。フォルヴェさんがそんなに執着している人って誰なんだ?』

『ふーん、こういうのはお前にとって珍しいのか?』

『まぁな。』

『うーん、執着しているっていうより“狂おしい程渇望している”と言った方が正しいな。』

『“狂おしい程渇望している”か。 フォルヴェさんらしくない例えだな。』

『“普段”のお前なら同意してくれると思ったのに!』

『今は“本当の僕”ではなく“キラ”としての僕ですから。』

『そうか、なら仕方ないか。』


『そういえばラッファルドの壊滅はどうするの?』

『その件に関しては俺とお前の部下達に任せておけってあのクズオーナーからのお達しだ。』

『じゃあ 僕とフォルヴェさんはこの後どうすればいいんだ?』

『俺達はこの先のカルバに向かう。 そこでノエルと合流してカルバを襲う算段だ。』

『えぇ、あいつと一緒にやるの?』

『仕方ないだろ? これもあのクズオーナーからの頼み事なんだから。』

『はいはい、やりましょう。』

『お前、やる気ない時とある時の差が激しいな。』


『ほら、行くぞ。 今日中にカルバに行かないとこの先の予定が狂うからな。』

『へぃー。』

フォルヴェとキラは口笛で相棒の怪鳥を呼び出すと、

それに乗り、一路 カルバへと向かうのだった。


『待っていろ、“ナナキ”。 カルバでお前に会える事を楽しみにしているぞ。』


フォルヴェの小言は怪鳥の鳴き声によって

かき消されたのだった。




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