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四十三話

 ダンスの講義は、本来なら受けるつもりはなかったんだけどね。

 実家でそれなりに踊れるよう教養として学ばされ、家庭教師に母上にメイドたちにと、練習相手には事欠かなかったからさ。

 ただ彼女らは皆年上であり、俺が練習したダンスは全て自分より上背がある相手ばかりだったんだよね。だから改めて学園で学ぶ意義は、ないとは言えなかったんだけども。


「ダンス、お上手ですのねライハウント様は。」

「そうでしょうか? 貴女様にそう言って頂けるならば、千の賞賛にも勝る喜びを感じてしまいます(蕩けるような微笑み)。」

「はぅ♡」


 まぁ、年頃のご令嬢と自然にお近づきになるなら、こういった講義が一番だよねと。うん、下心ありありですが何か?

 現在はとある伯爵家令嬢とくるくる、くるくるとステップを踏んで、音楽に合わせて舞い踊っております。なんかたまたま壁の花になっていらしたんだけどね、この令嬢。お陰で俺の方から誘いやすかったんだけどもさ。権勢とかはあんまりない家なんだろうなぁ、多分?

 しっかし……腰ほっそ! 手のひらちっちゃ! うんうん、本来高貴な身分の令嬢ってのはこういうのだよね?

 相変わらず武術の講義で俺をぼっこぼこになされることを楽しまれている、どこぞの辺境伯令嬢とは大違いだぜ! ふぉっ、い、いきなり寒気がっ!?


「どうなさいました?」

「いや~、なんか今むかつく気配をあっちから感じたような……気のせいかしら?」


 そういや彼女も参加してましたね意外でしたよっ! というのは流石に失礼か。令嬢だけに一通りの社交技術は身に着けているもんだろうしね、あれでもさ。


「まったく、ダンスなんかが北方防衛の何に役立つっていうのかしら? お父様のお言いつけでなければ、こんな講義取らなかったのにっ。」

「……辺境伯閣下は、卒業パーティでお嬢様と踊られるのをとても楽しみにしておられます。何とか、お相手の足を踏み砕く事がないレベルまで身に付けて頂かないと……。」

「分かってるわよ……でも何で皆私のステップについてこれないのかしら? これでも普通に踊っている筈なのよ?」

「それは、その……お嬢様が本気で踊られますと、何と言いましょうか……。」

「相手がいるのよ、本気で踊らないと失礼に当たるでしょう?」

「いえ、確かにその通りではあるのですが、ええと……我らも精進致しますので。」


 取り巻きとの会話が不穏しか感じないんですが?

 見ろよ、会話に聞き耳立てていた子息たちが一斉にあいつらの周囲から引いていく様を。お近づきになりたくても、あんなの聞かされたらそら萎むわな。俺も近づかないでおこ(自然にダンスの位置を誘導しつつ)。


「ぁ、ら、ライハウント様?」

「失礼、少々強引でしたね……その、貴女ともう少し踊って居たくて……。

 身分違いも甚だしいことは重々承知しております……軽蔑、されたでしょうか?(視線を伏せつつ恥ずかしそうに)。」

「っっ、そ、そのようなっ、事はございませんわ……わ、わたくしも、同じ気持ちでしたの……♡」


 貴族の社交の基本といえば、まず様々な理由で催される夜会、パーティーだ。

 であるならばダンスタイムは必須の項目として組み込まれている訳で、この講義は殆どの子息令嬢が上級下級問わず参加する流れとなるよね。

 故にこの講義こそが、下級クラスの令嬢たちが最も『目を付けられ易い』選択科目なのは、考えれば誰でも分かるだろう。

 一応、俺の派閥の令嬢たちには、当分の間は選択を見合わせるように通達してはおいたけど。後からでも受講科目に入れられるからね。最初の半年間までは。

 今は他の科目を体験受講という形で誤魔化させているけれど、令嬢たちにとってはこのダンス講義を最終的に外す事など出来ないのだ。学園の慣例のせいで。

 学園に入学した令嬢たちは、卒業までに『ダンス』、『刺繍』、『詩吟』で一定以上の成績を修めていないと卒業資格を取り消されるというのがさ。令嬢としてこれを食らうと、社交界で致命的な落ちこぼれと見做されてしまうらしい。

 とは言え、これはそれぞれの実家の方で送り込む娘を選べば済む話ではあるしな。


 既にタイムリミットは二か月が過ぎ、残り四か月。何人かの伯爵家令嬢には取り入る事が出来たんだけどね、母上譲りのこの顔のお陰で。だけど影響力がある令嬢はまだ居ないんだよ、彼女らはそれぞれの派閥の取り巻きだったからさ。将を射んとする者はまず馬を射よ、ってあれだ。

 こういうのはがっつき過ぎると良くないんだよ。上級クラスの子息たちに、俺が目を付けられない程度にという制限もあるので。

 もどかしいけど、急いて事をしくじったら元も子もないからね?


「ぁ、あの……今夜、この後にもう少しだけ……お話、出来ないでしょうか?」


 くはっ、上級クラスの令嬢にしては擦れてないなこの子!? そ、そんな純真な瞳で見つめられると、汚れちまった悲しみに震えるんですけどっ! 魂的におっさんだからさぁっ!


「……貴女のお望みのままに(甘く囁き妖艶微笑で)。」

「……(顔真っ赤にしてぽわーっと)♡」


 伯爵家以上の令嬢たちは、基本的には皆政略婚の許嫁がいるからね、純潔を奪うなんて言語道断なんだけども。こっちの首が軽ーく飛びますからね!

 でもね、前世から色々と汚れた経験値的なあれで、一線超えなくても色々とやり様があるんだよね、うん。この後どうなったかは、ご想像にお任せします。

ご想像の内容次第で、あなたの魂の汚れ具合が分かるかもしれませんの_(:3」∠)_

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