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四十二話

本職が外回りなので、夏場は疲れて執筆の時間が。

気が付くと寝てるからなぁ……。その内纏めて数話投稿するかも。一応PCも買い替えられたし。急場凌ぎの中古だけれども( ̄▽ ̄;)

 汎用魔法学の講義では、基本的に一定の座学時間で理論を修めてからの実践、あとはこの繰り返しみたいだ。

 そこで基礎となるのは【生活魔法】であり、しかし貴族というのは生活魔法を習得して居る者は少ない。何故ならそれらは全てお付きの者や家臣が担当し、須らくお世話をされる事が当たり前だからである。故に生活魔法スキルは、下賤の魔法と見下す貴族も一定数居たりするらしい。便利なんだがなぁ……。

 俺は使えるなら覚えないと勿体ないじゃないか、と最初にそう言って教授を請うた家庭教師からは変な顔をされ、母上からも微妙な反応をされたので困ったよ。

 ただ、俺の希望なら基本全てに応えてくれる過保護な環境だった為、それならば普段使いしているメイドたちに習うのがよいと教えて貰った。

 でも最初に教わったのが【生活魔法】の『避妊』だったのはどうかと今でも思う。……状況が丁度そういう頃だったとは言えさぁ(遠い目)

 うん、練習も兼ねて頻繁に使う機会があったし、必須でもあったのは間違いなかったけどな? スキルを習得するまでは、俺が失敗してもメイドたち本人が掛けて見せてくれたし。お手本としてもさ。


「この様に、生活魔法とは魔力の少ない平民でも普段使い出来るほど魔力効率に優れ、さらに学がない彼らでも容易に扱えるほど制御も容易く、意図的に暴走させなければ安全面でも優秀です。

 しかもそれ故に原則全てが『魔法名』のみで発動する『詠唱破棄』であり、のちに『無詠唱』スキルを習得する上でも特に秀でた練習用魔法と言えるのです。」


 と言うように、魔法科目を担当する目の前の教師からは理論と実績に裏打ちされた自信を窺える講義が続くんだけど、まあ初めからそれを下に見ている貴族は上級下級ともに一定数居る訳で、あからさまに小馬鹿にしたように鼻で笑う者がいるのだが。


「講義を真面目に受講する気がないなら出て行って。私の家は代々宮廷魔術師を輩する家よ。皆必ず生活魔法を習得させられる。理由は先生の言った通り。

 貴方たちの態度は、私の家を侮辱しているに等しいと理解できて?」

「――ッ!?」


 だがそんな彼らも、講義室の最前列にいた少女が振り返って、その冷たい瞳で睥睨しながら吐き出した言葉に凍り付く。

 マギアクラスタル侯爵家令嬢、アイシェルミア・フォン・マギアクラスタル。自身が言ったように、代々優秀な魔術師を輩出する一族であり、血族から必ず一人は宮廷魔術師の職を王家より賜ってきた魔導貴族とも称される法衣貴族家のご令嬢だ。当代の当主である彼女の父親は、筆頭宮廷魔術師であり、王国の武力の象徴である騎士団と並ぶ魔法兵団の団長様でもある。

 新雪を思わせる白銀の髪に、血のように赤い瞳は前世でいう先天性色素欠乏症(アルビノ)を思い起こさせる容姿だが、この世界では魔力の強い者にたまに現れる外見的特徴の一つであり、彼女は言うまでもなくそれにあたる。その上で才能にも恵まれ、努力も怠らない才女という前評判は間違いないらしい。

 放課後に通うとある個人的なお茶会からの、確かな情報である。


「い、いえ、私たちはそのようなつもりではっ。」

「マギアクラスタル家を侮辱した訳ではないのです、浅慮でした! 平にご容赦を。」


 途端に青ざめて必死そうに否定し頭を下げるのが、伯爵家や同位である筈の侯爵家の子息である事からも、その家の権勢が分かろうというもの。まあ、陛下に直言を許されるほど近くお仕えする方だからね、筆頭魔術師の地位って。なんかあれば告げ口し放題だろうしなー、そりゃ怖いわ。


「ありがとう、ミス・アイシェルミア。マギアクラスタル家の貴女にそう言って頂ける事ほど、皆に説得力のある言葉はないでしょう。」

「いえ、当然の事を申し上げたまでですわ。講義を遮って差し出口を挟んでしまい、申し訳ありません、先生。」

「ははっ、私如きに貴女が謝罪される必要はありませんよ。むしろ才能溢れる貴女に私の方が教えを請いたいくらいですので。立場上、そう言う訳にもいかない事が悔やまれますね。」

「まぁ。」


 緊張した雰囲気を和ませる心算もあったのだろう魔法科教師の言葉に、彼女も心得たようにクスリと笑みを漏らす。その背後で救われたように息を吐く子息たちの姿が、あれだなぁ。


「ではそういう事で。今期の受講者の中で、【生活魔法】スキルを取得済みの生徒は手を挙げてみて下さい。今後も受講されるならば、必須となるスキルですからね。

 未修得の生徒は、まずそこから別途教えていかねばなりません。」

「「「………。」」」


 という事で、素直に手を挙げてみる俺。他には彼の令嬢が当然といったように、あと二人ほどが全てだった。受講者三十人近くいるんだけどなぁ。色物を見る視線向けるの止めて貰えませんかね? 子息の中じゃ俺一人きりだとしてもさ。


「……。」


 ま、そのお陰でアイシェルミア嬢に意図せず視線を向けて貰えたので、とりあえず掴みはオッケーなのかね?

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